はじめてのラジカセ私の家は、電化製品は壊れてから買い替える、新しい物にはすぐに飛びつかない、必要な物だけで充分だった。 小学校の頃も、みんなが持っていたゲームウォッチなども 当然持っていなかったし、ファミコンも当時高校生だった1番上の 兄がお年玉で買ったのを、順番で遊ばせてくれた。それはとっても楽しい 兄妹の時間だった。 ある日1番上の兄が就職し、初給料をもらった。その時の使い道は... 「自分の弟と妹にラジカセを買う」事だったようだ。当時ステレオが1台 2番目の兄はお下がりのもう古くなったラジカセで辛抱していた。 1番目の兄が就職と同時に勤務先となる隣の町で1人暮らしを始める 事になり、ステレオの所有者である兄と一緒にステレオもお引っ越し。 残る頼みの綱の古いラジカセ。2番目の兄とケンカしながら聴いていた。 5月に入ったばかりのある日、1番上兄ちゃんが大きな箱を抱えて 実家に来た。2番目兄ちゃんに「これは、お前にプレゼントだ!」 2番目兄ちゃんは、嬉しくて嬉しくて箱を開けた。 スピーカーと本体を離して置け、音も本当にいいラジカセ! 私まで嬉しくなった。その日から新しいラジカセで音楽を堪能していた2番目兄ちゃん。1番兄ちゃんに心から「ありがとう!」と言うといつもの 優しい顔で、ニコッと笑った。そしてお古のラジカセは私の所に。 古かろうが私も嬉しかった。毎日毎日FMから録音して楽しんだ。 そして、その2ヶ月後....。友達はみんな当時流行していた、ダブルラジカセで、ダビングしたりと楽しんでいた。当然わたしは羨ましいと思いつつ お古ラジカセで頑張っていた。遠慮がちだった私は 両親におねだりができなかったので辛抱していた。ある日、両親と出かけて帰って来た日曜日。 自分の部屋のライトをつけると、部屋のまん中に何やら箱が.... 何だろうと開けてみたら!欲しかった真っ赤なダブルラジカセ!!! 嬉しくて、嬉しくて声にならなかった時、後ろから「気に入ったか?」 と1番上兄が。「おにいちゃん!ありがとう!ありがとう!」 ちゃんと私の事も考えてくれていた事もとっても嬉しかった。 幼い頃から両親が働いていた我が家は、1番上兄が2番目兄と私の面倒を 見てくれた。自分のお小遣いで、ソーダとアイスクリームを買い、 クリームソーダを作ってくれたり、自分の友達が遊びにきても私達を 側に置き、しっかりと面倒をみてくれた。私が33才になった今でも 優しい1番兄は変わらない。きっとこれからも家の兄妹はこのまんまでしょう。あんちゃん、いつも、ありがとう。 2番目兄の登場は別ページで.....! ジャンル別一覧
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