020062 ランダム
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Le sofa est ici

Le sofa est ici

はじめてのラジカセ

私の家は、電化製品は壊れてから買い替える、新しい物には
すぐに飛びつかない、必要な物だけで充分だった。
小学校の頃も、みんなが持っていたゲームウォッチなども
当然持っていなかったし、ファミコンも当時高校生だった1番上の
兄がお年玉で買ったのを、順番で遊ばせてくれた。それはとっても楽しい
兄妹の時間だった。

ある日1番上の兄が就職し、初給料をもらった。その時の使い道は...
「自分の弟と妹にラジカセを買う」事だったようだ。当時ステレオが1台
2番目の兄はお下がりのもう古くなったラジカセで辛抱していた。
1番目の兄が就職と同時に勤務先となる隣の町で1人暮らしを始める
事になり、ステレオの所有者である兄と一緒にステレオもお引っ越し。
残る頼みの綱の古いラジカセ。2番目の兄とケンカしながら聴いていた。

5月に入ったばかりのある日、1番上兄ちゃんが大きな箱を抱えて
実家に来た。2番目兄ちゃんに「これは、お前にプレゼントだ!」
2番目兄ちゃんは、嬉しくて嬉しくて箱を開けた。
スピーカーと本体を離して置け、音も本当にいいラジカセ!
私まで嬉しくなった。その日から新しいラジカセで音楽を堪能していた2番目兄ちゃん。1番兄ちゃんに心から「ありがとう!」と言うといつもの
優しい顔で、ニコッと笑った。そしてお古のラジカセは私の所に。
古かろうが私も嬉しかった。毎日毎日FMから録音して楽しんだ。

そして、その2ヶ月後....。友達はみんな当時流行していた、ダブルラジカセで、ダビングしたりと楽しんでいた。当然わたしは羨ましいと思いつつ
お古ラジカセで頑張っていた。遠慮がちだった私は 両親におねだりができなかったので辛抱していた。ある日、両親と出かけて帰って来た日曜日。
自分の部屋のライトをつけると、部屋のまん中に何やら箱が....
何だろうと開けてみたら!欲しかった真っ赤なダブルラジカセ!!!
嬉しくて、嬉しくて声にならなかった時、後ろから「気に入ったか?」
と1番上兄が。「おにいちゃん!ありがとう!ありがとう!」
ちゃんと私の事も考えてくれていた事もとっても嬉しかった。

幼い頃から両親が働いていた我が家は、1番上兄が2番目兄と私の面倒を
見てくれた。自分のお小遣いで、ソーダとアイスクリームを買い、
クリームソーダを作ってくれたり、自分の友達が遊びにきても私達を
側に置き、しっかりと面倒をみてくれた。私が33才になった今でも
優しい1番兄は変わらない。きっとこれからも家の兄妹はこのまんまでしょう。あんちゃん、いつも、ありがとう。
2番目兄の登場は別ページで.....!



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