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2019.11.17
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​​映画の原作ですねー
映画も見てるので、それはそれで別記事にします。


愚行録    book0480
貫井徳郎


​あらすじ​
エリートサラリーマン家庭であった田向一家惨殺事件から1年経ち、
事件は犯人が見つからないまま迷宮入りしていた。
その時、ある記者が、田向夫妻の同僚や学生時代の同級生、元恋人などに、
夫妻との思い出や人柄についてインタビューして回る。
すると、一見理想的な夫婦と思われた二人の本性が現れてくる。

映画も中村倫也出演作、のため見たんですが
並行して文字でも触れたいと思い、読んでみました。
すべてが誰かの語り、という作品はあまり読んだことがなく、
最初は不思議な感じ。
物語のメインの語りは、聞き手である事件を取材する田中に向けて
妹の光子、事件の犠牲者である田向夫妻とかかわりのある人たち、の
それぞれの主観の田向夫妻の人物像。
ただ、光子は最初は今までの親との関係や生活のことなど
兄である田中武志との思い出もまじえ語るのだけど
どうやら服役してる?そしてその罪は自分の子のネグレクトらしい。
そこまでは、ある程度序盤でわかるのですが、、、

それが、殺された田向夫妻とどのようにつながるのだろう、
と思っていたら、後半にだんだんその関係性がわかってくる。

光子は父親に小学校のころから関係をもたれ、
そんな生活から抜け出したくて東京の有名私大に進学。
そこで出会うのが夏原友希恵、のちの田向夫人。
格差社会がはっきりしてるその私大の生活で、
なぜか夏原と親しくなった光子は、自分もこれでうまく男を捕まえれば
どん底の過去から逃れられる、と思っていたのに
結果都合よく遊ばれた感じになり、その仲介役が夏原だった。
その後街で見かけた夏原は、彼女の顔も忘れて
自分のカワイイ娘と高価なケーキを買い、きれいな一軒家に帰っていく。
一気に嫉妬にかられ、憎悪が沸いた光子の、単独犯行だった、、、、
というのがあらまし。

なによりも、そんな光子が子育てに戸惑い、結果我が子を死なせて
服役することになるのだけれども、その父親が実は武志だった、、、という
なんとも衝撃的で重苦しい結末だった。
ただでさえ、光子は実の父親に子供のころから性的虐待をうけ、
猛勉強の末やっと入った大学では、格差を埋めることもできず都合よく扱われ、
もう、ただただ救いようがない、苦しい話でした。
それと同時に、関わって話を聞いていくいろんな人たち、
同じ人物を語っているのだけど、受け取り方、一緒に過ごした時期、長さ、
その違いでずいぶん人物像が変わるものだ、と・・・
悪く言うつもりはない、といいつつ、見え隠れする嫉妬だったりエゴだったり
小さい嘘だったり、、、まさにだれもかれも、自分の愚行を語るような。
一見理想の夫婦、家族に見えた田向夫妻も、実はそうやって
方々で嫉妬を買い、恨みを買い、そうされるだけのクズな部分があったりして
人ってわからんもんだ、、、

とにかく、なんとも言えない話でしたね。
重苦しく後を引く、いろいろ考えちゃう内容でした。

映画も見たけど、登場人物はそのイメージがあって
それなりに読みやすかったかもね。



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Last updated  2019.11.17 21:23:21
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