レジャーサービス研究所(東京&上海)

2010/05/26(水)13:02

「ガイアの夜明け:攻防!巨大万博」をこう見る

上海万博(7)

■ガイアの夜明け「攻防!巨大万博~13億人を驚かせる日本の技~」 見終わってすぐに、中国人の友人からメールが来ました。 番組の内容にあまり納得できなかった様子。 確かに 中国人の目線で見れば確かにおもしろくはないはず。 そんな内容でした。 「日本のサービスが良くて、中国は悪い」 というのを強調するあまり 豫園という観光地(お土産屋街)の商店の小姐と 上海の天下の森ビルのスタッフを比較しても、、、ねぇ(汗)。 <豫園の商店で働く小姐たちが 壁に寄りかかったり、店の中で食事している風景が強調されていた> これはあんまりでしょう。 だいたい、豫園の小姐たちのマナーが悪くて、 それで「豫園は衰退してしまいました」というのなら話しもわかるが、 現実には相変わらず盛況で、儲かっている。 だから「別に今のままで構わない」というのが現地の人のお言葉。 それに、上海のホテルなどには ホレボレするほど接客サービスが素晴らしいスタッフはたくさんいます。 そちらと比較して、 日本のおもてなし教育は、どこが良くてどこが悪いのか? と真正面の比較が見たかった。 「日本のおもてなし」を商品化してビジネスにしたい気持ちはわからないでもないが、 比較の基準不明でなのに強引過ぎ、というのが正直な印象。 森ビルのようなブランドや知名度がある施設や店と、 街中の商店とでは、何から何まで違い過ぎる。 やるなら、 日本と中国の「良いサービスの比較」 そして、「悪いサービスの比較」も見たかった。 両方にあるはずだから。 「中国のサービスが悪い」という印象を抱く日本人は多い。 (抱かない人も、もちろんいる) それには悪い原因がある。 日本人がそれなりに良いサービスをする原因もある。 そういう私も中国に来たばかりの頃は、 「中国人のサービスは悪い」と一方的に考えていました。 しかし、この10年、中国で上海、北京から ハルピン、内モンゴル、昆明、、、まで現場の指導をしてきて、 それぞれの原因があることを痛感しました。 まずは「給与」。 日本では、大学を卒業して、接客業に就職しても、 オフィスワークの仕事をしている友達と給与はそんなに変わらない。 しかし、中国(特に上海)では3~5倍も違います。 就職して2-3年経つと、 片やオフィスワークで7-10万円くらい。 レストランなどの接客業の場合、2-4万円程度。 これを日本に置き換えれば、 オフィスワークが20万円で、 接客業が5万円、、、(汗) そうなったら、誰もやらないでしょう。 しかし、中国ではこれが現実で、 オフィスワークと同じような給与を出すホテルやお店では、 日本人のおもてなし指導なんか必要ないほどサービスがうまい。 また、労働条件も違います。 豫園とかの商店街で働いている小姐たちは、 一日12時間労働で、休憩時間なんてないし 休憩室も用意されていない。。 だから、店の中で食べるしかない、、、だけのこと。 よって携帯電話も店内でかける(しかない)。 何しろ、店から出れないのだから。 ただそれだけのこと。 それに比べれば、 日本の施設やお店はラクなもんです。 2時間に一回くらい休憩時間もあって、 場合によっては休憩室も完備。 さらに言えば従業員食堂まで完備。 ユニフォームも支給。 8時間拘束でも実働6.5時間くらい。 しかも給与が高い。 (かつて「日本はおもてなしが出来る条件が整っている、、、」 と中国人の生徒に指摘されたことがある) また、万博のパビリオンとか森ビルとか外資系ホテルとかエアラインとか、 知名度、名誉、有名度が高ければそれだけでも「シャン!」とします。 それだけでモチベーションが高くなるわけです。 無名の街中の商店の小姐たちはそうはいきません。 守るべきブランドもない。 小姐たちが守るべき使命は、、、 そう! 販売すること! これができればよいのです。 それが役割。 彼女たちの評価は「どれくらい販売したか?」だけです。 だから 「販売しない仕事と比較されてもそれは可哀相だよね」 というメールを返信しました(笑)。 ということで、 比較するなら条件を揃えてもらいたかった。 === 番組には出てこなかったけど、 このあとの上海万博の課題は、 すでにダレ始めているパビリオンのスタッフのフォローアップでしょうね。

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