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カテゴリ:コンサルタント
販売サービスの研修やセミナーで講演をしていると、 よく聞かれるのが「斉藤さんの基本、原点はやっぱりディズニーランドですか?」 という質問です。 まぁ多分、そういう答えの期待があるのかもしれませんが、答えは「NO」です。 なぜならディズニーランドで学んだことは「運営」であって、販売ではないからです。 ディズニーやサンリオと言った世界的ブランドで働くと「凄い」と思われがちですが、 こと「販売」に関してはあまり参考になりません。 黙っていてもそれなりに売れるからです(笑)。 すでに有名で知られている「あこがれ」の商品を販売するのは 差ほど難しいことではありません。 対して、日常品や無名ブランドの商品を販売する時こそ創意工夫が必要だし、 大いに勉強になります。 先日、久しぶりに中野区鷺宮に行きました。 何を隠そう高校生時代は鷺宮の商店街の魚屋さんでアルバイトをしてました。 毎日授業が終わると(または終わらなくても、、、または学校を休んだ時でも、、、:笑) 夕方から魚屋さんで働きました。だいたい3hの仕事です。 高校生になったらアルバイトをしたいというのが私の希望で、 父は魚屋さんのアルバイトは許可してくれたからそうなっただけで、 別に魚屋さんが好きだったわけではありません。 そのお陰で3年間働いて「魚嫌い」がすっかり直って 「魚好き」になってしまったのですから、父の思惑通りになったのでしょう。 魚屋さんは夕方から約3時間くらいが勝負で、それ以外の時間帯はほとんど売れません。 そして、なんと言っても生魚ですから「毎日売り切れ!」が目標です。 とてもシンプルです。 余ったらほとんど捨てなければならないので。 最も強烈に印象の残っているのは、 例えば今日はアジをたくさん仕入れたのでアジを売れ!とおやじさんから指示されます。 それで私たち学生アルバイトは各自が創意工夫しながら薦めます。 すると私より2倍も3倍も売る人がいました。 ユウちゃんと呼ばれていて学校は違うけど同級生でした。 「なぜなんだ?」と考えたところで答えは簡単でした。 商品は同じ生のアジです。だけど接客が違うわけです。 (魚屋さんですから特に「身だしなみ」に大きな違いなんかありません) そこでよくよく耳を澄ましてユウちゃんの会話を聞いてみると 「このアジは刺身でもいけるけど、ちょっと贅沢に天ぷらでもおいしいですよ」 とか話していました。 そうです。ユウちゃんは、料理の提案をしていたのです。 私はただただ生のアジを「新鮮ですよぉー、これ見てくださいよ、きれいでしょう」とか、 オウムのように繰り返していただけでした。 そこで「ユウちゃんのようになりたい」と思ってみたものの どうして良いのか?わかりません。 結局、おやじさんに相談しました。 聞けばユウちゃんは母子家庭でした。 お母さんが夜遅くまで働いているから、小学生の時から兄弟で自炊をしていたとのこと。 だから料理に詳しいので良く売れるのだ、と。 そして、 「お客さんは魚のコレクターじゃないぞ、料理して美味しい食事がしたいだけだ。魚はその材料なんだ」と教えてくれました。 今となっては当たり前のような話ですが、 高校生の私にとってそれこそ目から鱗が落ちた瞬間でした。 そうは言ってもその頃の私は、目玉焼きとホットケーキくらいしか作れませんでした。 お客さんに料理を説明する知識は持ち合わせてません。 そう愚痴ると、翌日おやじさんが練炭を買って来てくれました。 魚屋の中に置いて練炭を使って色んな料理を作ってくれました。 それ以来毎日料理教わりつつ魚を売る日々が続きました。 (ちなみに、それが私たち学生の食事にもなってました) そんな私たちの姿をみて、店の両隣の八百屋さん、肉屋さんのおやじさんたちが 可愛がってくれるようになりました。 気温が下がってくると、 隣の八百屋のおやじさんが「今日は白菜が安いから鍋を薦めろ」とか アドバイスをしてくれるようになりました。 そして、すぐに「今日はタラで鍋がいいですよ」とどんどんお薦めします。 それでタラを買ったお客さんはそのまま隣の八百屋で白菜を買う、、、という流れです。 (これがきっかけで販売サービスに興味を持ちました) そうした料理の知識が全くない私にとって、 店の両隣の八百屋さんと肉屋さんのアドバイスはとても貴重でした。 さらに夜7:00を回ったら、 少しずつタイムセール、つまに値引きをしながら売っていきます。 売上げと廃棄ロスのバランスを常に計算しなければならないので、 今考えても大変高度な体験だったと思います。 運営サービスのコンサルタントになって今年で20年経ちますが、 原点はやはり魚屋さんだと思います。 近年、書店には様々なビジネス本(セールス、店舗運営、接客、、、)が並びますが、 よく見てみると別に新しい手法なんてそうあるものではありません。 どれも見せ方や表現を変えているだけで基本は商店街にいくらでも転がっています。 そんなわけで、今もスーパーマーケットの研修の際には やっぱり魚売場の販売サービスに関して熱が入ってしまいます(笑)。
Last updated
2012/04/19 05:34:18 PM
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