レジャーサービス研究所(東京&上海)

2012/09/03(月)12:37

LCCに見る新しいサービスと客の教育

サービス・マネジメント(31)

8月は合計4グループの中国人観光客のアテンドをしました。 「ゆっくりお盆休みを」と思っていたら、 結局は毎週のように訪れる中国人客のアテンドでした(汗)。 そのせいで成田空港と羽田空港に何度も通いました。 そこで話題のLCCのカウンターを見ることができました。 何度も見ていると、激怒客を目にすることがありました。 LCCは格安で飛行機を運行するために、 様々な工夫をしています。 そのひとつは機体の所有を最小限にして、絶え間なく運行することです。 そのため、機体が空港に戻ってくるのが遅れたり不具合が発生すると 代替えの機体がないため、遅延や欠便になります。 機体をたくさん保有していればそうしたことに対応可能。 しかし、余分に機体を保有するということは、 それだけでも膨大なコストがかかります。 (人件費、メンテナンス、駐機代など) だから「遅延覚悟前提で乗る」べきものです。 しかし、まだ客のマインドがそれに慣れてないのです。 そうした客たちは、遅延や欠便があると地上のスタッフに喰ってかかります。 中には暴言を吐いて、スタッフを泣かせてしまう客もいます。 さらに荷物預かりは有料とか、従来の航空会社のルールとは 大小様々な違いがあります。 その度に「なんでできないんだぁ!?」と怒る客がいます(汗)。 (従来通りのいたれりつくせりのサービスが欲しいなら JALかANAに乗ればよい=選択の自由) 当面はLCCのスタッフの悪戦苦闘は続くかと思います。 どんな業界でも新しいサービスを導入すると初めはお客が慣れてないため 様々なトラブルやクレームが発生します。 TDLの開業時も同様でした。 今でこそ夢と魔法の王国として、レジャー観光産業の不動のエース的立場ですが、 開業当初は、ゲストからもマスコミからも叩かれまくり、、、でした。 当時のことを冷静に振り返ると、 毎日ゲストへの注意やお断りをしていて、つらい日々だったことを思い出します。 その筆頭が「お弁当の持ち込みお断り」です。 それまでの日本人の感覚としてレジャーに行く時、 お母さんの手作弁当を持参するのは当たり前であり、常識みたいなものでした。 それを持ち込んで広げて食べようとしたところで、 私達キャストがお断りするのです。 素直に従ってくれる人は稀で、ほとんどのゲストは不平不満を口にしました。 正直、私自身も「こんなこと意味あるのかな?」と思ってました。 こういう毎日が一年以上続くと働くキャストもめげて来ます。 そして、3年くらい経過すると、段々と減ってくる…。 (客がルールを理解しだす) 最近では、南船橋にイケアが開業した頃も、 「なんで自分で組立なきゃならないんだ!?」と激怒する客がいました。 自分で組み立ててもらうのがイケアの特徴なのに それを理解してない客ばかりだったのです。 このように新しいサービスが始まった当初は 「客を教育する期間」です。 こう書くと高飛車な感じがしますが、事実です。 だからこの期間に働く従業員はタフでなければならないのです。 最初から客に感謝されることや客の笑顔を当てにしていた人たちは、 あっという間に去っていくからです。 私たちが行う「開業時研修」も、 この「客の教育期間」を前提とした内容で指導します。 (これはTDLでの経験が大いに役に立ちました) このように開業当初というのは、おてもなしうんぬんの手前の段階で ますは客を教育することが必須なのです。 LCCのグランドスタッフの皆さんも 当分は、理不尽な不平不満を浴びせられるかと思いますが、 しっかり客を教育してもらって 日本の観光産業のためにもぜひ、乗り切って頂きたい。

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