LuciaPoppファン の ホームページ

2004/05/09(日)22:45

「大欧州誕生」

欧州(25)

昨日と本日のNHKスペシャル「大欧州誕生」。 5月1日の10ヶ国の加盟により、25ヶ国、4億5千万人のひとびとを擁することとなったEU。この拡大に至るまでの経緯や、各国(とくに新たに加盟することとなった、旧“東欧”の国)の事情、そして、今後のことをも、判りやすく描いてくれた放送であった。 紛争が絶えない世界情勢の中での、EU拡大。その、大きな波の中での、ポーランド、ロシア、ウクライナ、イギリス、スペイン、といった国々の動きが、よく理解できる構成の番組。この二日間の放送は、たいへんな労作であり、秀作であったと感ずる。 昨日の放送にあった「アキ・コミュニテール」(EU加盟のための手続きをまとめたもの)、そして、今日の放送の「EU憲法」。その綿密さ、換言すると、条文の多さ。それは、私の予想を遥かに超えるものであった。 予め綿密なしくみを作っておく、ということは、何世紀にも亘って紛争を繰り返してきた国々が、統一を図ろうというのであるから、ある意味で当然なことではあるのかも知れないのだが、「違いがある」ということを、先ず共通認識として持ち、このことを出発点にして、統一に向けての、一部の隙も無い「しくみ」を作ろうという姿勢には感服する。 “持続可能な発展”と“多様性の中の統一”という、基本理念。 そして、それらを基に統一を完遂しようという、強固なる意志を持った人々。 独仏の連携。スペインの政権交代。イギリスの参加。揺れ動くポーランド。 国境を越えた(正確には、もはや国境というものを考えない)経済協力。 アメリカ一国に頼らない、ヨーロッパ独自の安全保障戦略。多国間主義。 近い将来、EUは、アメリカ、ロシア、国連と並ぶ、世界が信頼し得る存在となるであろうことは間違いない(信頼度という観点からは、国連をも上回り、第一位となるかとも思えるほどだ)。 年金を払っていない、といった問題に明け暮れていて(政治家も、マスコミも、視聴者も)、国としての将来構想や、政治理念などに関する、(現実を見据えての)議論など望むべくも無い、我が国が、なんとも情けなく思えたのであった。

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る