バイク乗りの短編小説-8 練習会
敏一は朝6時に目が覚めてしまっていた。休日は毎週早起きしてバイクに乗る習慣がついているからだ。外を見ると、朝から青空がきれいだ。今日はバイク日和に違いない。敏一はいつも休日はバイクに乗って過ごしていた。よく走りにいくのが、敏一の住んでいる部屋から2時間ほど走ると辿り付く峠道だ。6時前に家を出て、午前8時頃ついて、車が多くなってくる午前10時前には峠を下り、帰路につく。しかし、最近は紅葉シーズンなので朝から車が多くて気持ち良く走れないだろうと思って峠へはいっていない。敏一はバイクに乗る以外、特にすることもない為今日はどこに走りにいけばいいか、考えていた。「久しぶりに首都高ぐるぐる回って、その後、お台場でおりて 一休みしてたまには買い物でもしようかな‥」そんな考えが浮かんできた。その後もいろいろプランを考えたがあまりいいプランも出てこなかったのでそのプランに決定した。日曜朝の首都高速はとても走りやすいので気に入っていた。そうと決まれば、もう寝ている意味がなくなる。さっさと顔を洗って着替えて外に出た。敏一の愛車は600ccの4気筒だ。軽くてトルクも十分あるのでとても走りやすい。空気も冷えていたので、少しエンジンを廻して暖まるまで待った。その間、バイクをいろいろな角度から眺める。流線型のボディがとてもかっこいい。そして、早く乗りたい気持ちに押されて、待ちきれずにバイクに跨った。やはりまだ暖まりきっていないで、エンジンがもたついていたが、ゆっくり走ってご機嫌をとった。大通りに入ると交通量は少ないが、あんまりだらだら走っていられないので少しペースを上げる。少しエンジンに無理をさせている様で嫌だったが、早目にシフトアップしてなるべく回転数を抑えて走った。高速入口に着くころにはエンジンも完全に目覚めていた。料金所を抜けて、一気に100km/hまで加速する。相変わらず気持ちのいい加速っぷりだ。敏一にとってはバイクに乗っている時間が一番充実していた。もちろん彼女もほしいと思うが、まあ出会いもないしその辺は自然の流れに任せておけばいいかなとも思っている。5号線で高速コーナーをクリアして環状線を箱崎方面に走る。箱崎手前で宝町方面へ、そして宝町の下りストレートで一気に加速する。そこからコーナーをいくつかクリアしてレインボーブリッジ方面へ向かう。空はとても青くどこまでも高かった。ビルよりも高いところを走っているレインボーブリッジからは遠くまで見渡すことができる。お台場のビル群の向こうに海が見える。そこから下ってカーブを抜けると湾岸線だ。湾岸線からまた箱崎方面へ戻る。そしてまた宝町の下りへ敏一はこのルートが好きだった。空いているし景色もいい。途中で休憩できるところもあるのだ。3周ほど走って満足したので、湾岸線を新木場まで走り下りた。そして、Uターンしてお台場へ向かう。1本海に近い道を走る。国際展示場の手前に高速コーナーがある。この道も楽しいのだ。高速コーナーへ近づくと、広い駐車場にバイクが集まっていた。どうやらジムカーナの練習をしているようだ。敏一は一度はそこを通り過ぎたがどうしても気になって気になって戻った。「いきなりいって参加させてくださいとかいったら、おかしいよな‥」「でも、やりたいな-」敏一にとってバイクが全てだった。だから、バイクにはまっすぐでいたい。ちょっと変な目で見られるかもしないが、自分に負けたくない。だから、参加させてもらうことを決めた。「あ、あのすみません。私初めてなんですけど参加することって出来ますか?」勇気を振り絞って聞いたみたら、案の定、変な顔をされたが、「会費払ってくれればいいですよ。」と受け入れてくれた。「あ、すみません。ありがとうございます。」敏一はほっとした。広い駐車場には、カラーコーンが規則的に並べられていた。見るからに楽しそうだ。勇気を出してよかった‥さりげなく場の空気を読んでなんとなく順番待ちの列に入る。自分の順番が待ち遠しかった。他の参加者の走りはとてもメリハリがあって上手だった。敏一もそこそこ走り込んでいるからまあ上手な方だろうとタカをくくっていたが、実際やって見ると以外に難しい。小さくカラーコーンの廻りを廻ろうと思うのだが、どうしても大回りになってしまう。自分の乗り方はだいぶ自己流であったことに気付いた。他の参加者さんの中には正直パッとしない地味な感じの人もいて敏一は上から目線でいたのだが、全然、敏一より上手だ。軽くショックを受けつつも、練習し続けた。練習時間が終わり、敏一はお礼をいって、練習場を後にした。もっと話しかけて仲良くなればいいとも思ったのだが、敏一は集団の中に入ることがあまり好きではなかった。その後、お台場の海岸で一休みしてから帰ろうと決めて海岸まで走った。結構長い間練習したせいか、バイクの操り方がいつもと違った。いつもは大雑把だが、確実に繊細に操ることが出来ている。海岸について、缶コーラを買って海を見ながら一気に飲んだ。廻りはカップルだらけだったが、何故か寂しさは感じなかった。今はバイクが最高の相棒だ。太陽は傾きかけており、疲れた体に風が気持ちよかった。送料無料 セグウェイ KINTONE セグウェイスクーター ハンドフリーセグウェイ 【正規品 / 保証付...価格:48,900円(税込、送料込)バイク ブログランキングへ