もう 戻れないこと
あの日から 記憶が無いのですどうやら 主人の了解のもと私は 実家で 暮らしていたようでした今朝 急にここは 実家だと 気が付いたのですがけれど その家は私が 子供の頃に暮らした あちこちの家とも7年程を暮した実家とも明らかに違っていました結婚して子供を産んで 暮らした家そして 主人と二人暮らしになった家どの家とも 違う 家地震がきて水槽の水がこぼれ・・・父も 母も とても優しい子どもの頭をなでるように優しい目で 私の顔を 覗き込みますけれど私の心は 落ち着かなくて甘い お酒を 飲みました1杯と 更に 半分 赤くて 甘いお酒を 飲みました「そうだ 仕事に行かなくちゃ」「あぁ お酒を飲んでしまったから 今日は 仕事に 行かれない」弟が電話のかけ方を 教えてくれるのですが透明な水の中にある 電話機はうまく ダイアルが まわせませんおや遠くでぽーん ぽーん と 花火の音が 聞こえます「なあんだ 今日は 祝日だねぇ 主人は 今日 お祭りへ行くのかしら」それでも もしかしたら会社は お休みじゃないかもしれない休みます って 言いにいかないと・・・この通りを曲がると 多分 近道でも なんだか いつも ここで 間違うのよねほーらやっぱり 間違ったこんな 歯医者さんの裏手に出たら高台をぐるぅっと まわることになってしまうあぁ また こんな路地へ出た知っているのにいつも どこにも 行きつかない道もう 家にも 帰れないそうして 私は 目が覚めました父と 母の 優しい笑顔をどうしても もいちど 見たくってなんとか また眠ろうと したのですが一旦 目覚めてしまった頭はもう 記憶を すべて 取り戻してくれました父は 介助が必要になり今後 自宅に 戻れることはないでしょう母は今度の 日曜日に 居宅型のホームへ 移り住みます もう あの家に 住む人は いません