乾季真っ最中
日本は寒い、と聞いている。当たり前だ。日本は冬。雪が少なかった時期もあったらしいが、最近東京でも雪が降った、と母からの便り。皆様お体御自愛下さい。さて、ここは乾季、まだ1月ではあるが昼間は20度を越すこともしばしば。1日のうちで気温の差が激しく、富士山5号目と同じくらいの高度にあるメキシコシティーの夜はけっこう寒かったりする。日本ではしない格好=ジャンパーの中は半袖、というパターンが便利。3月から5月にかけて街中のハカランダの木がいっせいに花を咲かせ、それはそれはキレイになるのだが、地球温暖化のせいか、1月下旬の現在既に花が咲き始めている!ブラジル原産、アフリカ原産とも言われているこの木は、ここメキシコに住む日本人の間では「メキシコ桜」とも言われている。桜の色を薄紫にした感じで、緑色の葉もついていて、茶色い渇いたメキシコシティーの土地にこれらの色がなかなか合う!しかも桜は1週間というはかなさが情緒たっぷりなのに対し、ハカランダは2カ月も咲き続けてくれる。ところでこの乾期、私にとっては大敵。世界でも有数の大気汚染にやられているメキシコシティー。人口2,000万。ひしめく車。四方を山に囲まれた盆地。太陽光線が強い。風が吹かない。自動車排気ガスの逃げ場がない。 光化学スモッグの発生。という具合。お空が黄色いの。初めてこの国へ飛行機で降り立った時、晴れているのか、雲っているのかよくわからなかった。空は晴れているはず。空は青いはず。何だ、これは。塵、ホコリのアレルギーを持つ私にとって住む場所の空気が吸えないのだ。最初、住み始めた1年目は何が起こっているのかよくわからず、咳がずっと止まらず肺炎の一歩手前までいった。健康なメキシコ人でも気管支炎にやられる人も多い。この公害から免れるべく週末はシティーを出て郊外に出掛ける人も多い。最初はこの国で小学校で先生してたので、よく子供たちの校庭での部活動が中止になっていたことを思い出す。小学低学年のちっちゃい子たちは突然鼻血をたらーり、と出していた。日本でスギ花粉が飛ぶ3月、私はよくマスクをしていたことを思い出しこれが汚い空気を避ける簡単な唯一の方法と思いついた。更に「雨の国ニッポン」はいつも空気が潤っている。水分がある。日本人の私にはそれが必要。そこでマスクをびちゃびちゃに濡らす。これで一挙両得。きれいで湿った空気を吸える。この方法で半年続くおそろしい乾期を乗り切れる。しかし!太陽光線も強くサングラスがないと目の弱い私は外を歩けない。私はサングラス、マスク両方とも必須で、その2つを顔にはめると顔のほとんどが覆いつくされてしまう。外出する際、ペセロ(小型乗合バス)に乗ることも多いが、ペセロっていうやつは停留所がないので、乗りたい人はいつでもどこでも人差し指たてて止まってもらう。が、私の場合多くのペセロが止まってくれない。運転手は人を選ぶのだ。このかなりあやしい姿の東洋人には見向きもせず去っていく。銀行の前で警備するお巡りさん、私を見かけると銃を構え直す。あ~あ、早く雨季にならんかなあ。