ふるさと
日本に帰国してから、1ヶ月に1度は実家へ顔を出すようにしている。 長期間、異国にいた罪滅ぼしか? 以前、ものすごおおおおおく客観的に、 「もし、この私が自分自身の娘だったら、母親である私はどう思うのだろうか?」と考えた時、 間髪入れず、 「お母さん、ごめんなさいっ。」と思ったものだ。 こんな何を考えているかわからん娘は、心配を通り越して アキラメざるを得ない悲しい親心がわかる気がした。 そんならせめて、私は最低限でも 元気でいなくちゃ。楽しくいなくちゃ。幸せでいなくちゃ。 実家は山と川に囲まれた関東平野の外れである。 若かりし頃は東京がまぶしく見えた。 東京の学校に通い、東京で就職し、東京で飲み食い遊んで、そしてとうとう 東京を離れて異国へ行ってしまった。 家族のことはひとときも頭を離れたことはなかったけれど、 実家のある町はつまらん、と思っていた。 ところが、どうだろう。 最近の私の目には、自分の生まれ育ったこの辺りが何とも言えず素敵な処に映ってみえる。 この歳になってようやく。 年とっていくのは、いいことじゃのう。 こんなオバカな私にも時間をかければ、いいことに気づかせてくれるのだ。 今日は母と夕飯の買い物がてら散歩した。 近くの山の展望台にのぼった。 私のふるさとは美しい。