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2001年12月03日
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 この日記で始めて「楽曲」を採り上げることにする。とはいえ、私は評論家でもなんでもないので、曲の背景や構成などといった専門的なことは書けない。ただただ「好き」というだけのことなのだが。
 「名曲」と謳われる作品は数多くあれど、この作品ほど「名曲」に相応しいものはないかもしれない(先般ムシカで演奏したベートーヴェンの「田園」は別格の「名曲」ということにさせていただく)。
 ピアノ協奏曲には「一般的名曲」が多い。チャイコフスキー、ラフマニノフ、ショパン、グリーグ、ベートーヴェン。「一般的」でないにしろスクリャービン、シューマン。これらの共通点は「美しいメロディ」にあると私は思っている。ピアノという楽器の特性を活かした、壮大で広がりのある、そして美しいメロディ。あるものは憂愁に満ち、またあるものは憧憬に満ち、またあるものは高貴さ漂う、ピアノによって奏でられるメロディ。それがピアノ協奏曲の醍醐味であろう。
 だが、ブラームスのこの協奏曲は、ちょっと違う。勿論、メロディも素晴らしい。第一楽章の冒頭から始まる一連のピアノ独奏。ブラームスのピアノ曲に見られる独特の音の構成が、一つの和音となりメロディと聞こえてくるあたり、ブラームスの真骨頂ともいえる。そしてフル・オーケストラが改めてテーマを演奏する段になると、ある程度わかるのだが、この作品は非常に「シンフォニック」なのである。ピアノ協奏曲でありながら、ピアノ独奏を伴った「交響曲」とも誰かが言っていた。
 一年ほど前に伊藤恵さんと共演する機会をいただいたが(その演奏は、本当に素晴らしいものでした。女性であれだけのブラームスを演奏できるなんて信じられません)、その時にスコアでピアノ譜を研究しようとした。自分が有る程度独奏を弾くイメージが持てれば、オーケストラ伴奏もスムーズに行くのではと思ったからだ。だが、ピアノ譜を見ただけでは、よくわからない。曲については熟知している筈なのに。つまりそれほどブラームスのピアノは複雑である訳だ(私がピアノに関してはそれほど得手ではないことを差し引いても)。そのピアノの複雑さと、ブラームス特有の厳格な構成とが相乗効果を生み、スケールの大きい作品となった。
 ついつい熱がこもって長くなり、書いているうちに訳がわからなくなってしまった…。要するに、この曲は素晴らしい!つらつらと書こうがなんだろうが、とにかく名曲中の名曲であることは間違いない。4楽章が少し「しょぼい」がそこはご愛敬。1楽章の壮大さ、2楽章の厳しさ、3楽章の幽玄の世界とも言える美しさ、是非ぜひ味わっていただきたいと思う。

追)梅安さん、その節はありがとうございました。





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最終更新日  2001年12月03日 22時55分23秒
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