電撃学園RPG
アマゾンのカスタマーレビューな感じになってしまった。まーいっか。どうせ読む人はごく一握りさ。自己満足自己満足。原作厨的視点から考える「電撃学園RPG」文:炎雷破 「電撃学園」に通うごくふつうの高校生である主人公と、彼の幼馴染・キズナが肝試しをしようと夜の学園に赴いた。そこで購買でメロンパンを貪っているシャナと遭遇する。なしくずしに「絶夢」と呼ばれるなぞの存在との戦いに巻き込まれ、電撃文庫作品の人気ヒロイン達と共に作品世界を回りながら物語の改ざんを阻止していく…というお話。 ゲームシステムなどの評価は他レビューに任せて、今回は純粋に電撃ファン・原作ファンから見てこのゲームはどうか、ということを考えていこう。 まずは原作の扱われ方についてである。電撃作品全てを網羅しているという豪傑はそうそういないであろうが、大賞受賞、アニメ化、漫画化etc…と来れば、電撃文庫を読むかあるいはこのゲームを買うような人ならば、少なくとも名前くらいは知っていて当然だ。今作の主要登場人物や冒険舞台は、そういった作品からの抜擢になっている。 それゆえ、好きな原作が舞台になっていたり、好きなキャラクターにスポットが当たっていたりするときに、その扱われ方に敏感になる人も多いだろう。しかし、我々各原作ファンをあざ笑うかのように、舞台選択や登場キャラクターには偏りがある。顕著なのは「とある魔術の禁書目録」「灼眼のシャナ」である。どちらもアニメ化、漫画化と順調にテリトリーを広げた人気作品だ。「禁書目録」は舞台として贔屓されていて、その学園都市は最終章で訪れるのも含めると計4回登場する。「ドクロちゃん」や「とらドラ!」の世界はラストを含めても2回しか行かないことを考えると、結構な贔屓である。「灼眼のシャナ」はヒロインのシャナの扱いが、他作品からのヒロインに比べて優遇されている。何かというと、“戦いに参加する動機”である。そもそもこの戦い(あるいは冒険)の目的は、絶夢による世界の改変を止めることであり、これはシャナが原作中で紅世の徒相手に繰り広げている戦いと酷似している。つまり、シャナは他ヒロイン達が「何故か別世界に飛ばされた」という状況なのに対して、自発的に当然のように義務として先頭に立って戦いに参加しているのである。最初に出会うのがシャナであることからも分かるように、シャナがいなければ話が始まらない、進まない。極論をいえば、主人公とシャナだけいれば一応、理論的には世界の改変を止めることはできる(細かなイベントなど問題は山積みであるが)。シャナを中心に据えることに異を唱えるわけではない。物語の特性上、そうなってしまうのは仕方が無い。しかし、他作品からの登場人物達がそろいもそろって「何故か飛ばされたから」という理由で仲間として戦っているのでは何ともご都合主義に感じられてしまう。良くも悪くもキャラゲーなのだから、そういうところのフォローも大事なのではないだろうか。次に、各章の場面選択についてである。各章の導入部で、原作のワンシーンが挿入されるわけだが、一部なぜそこを…というような場面を用いている章がある。いわゆるサービスシーンだ。女の子の柔肌を見てしまい、ダメ主人公どもがオロオロするようなシーンである。まぁそれも一興…と言ってしまいたい所なのだが、そのシーンに遭遇した主人公(このゲームの)の反応が非常に相応しくない。原作のそういう場面を引き合いにして、ぎゃあぎゃあと騒ぐネタにするのはファンとしては全く面白くなく、逆に腹が立つものだ。芸能人のちょっとしたスキャンダルをネタに騒ぎ立てるマスコミとほとんど同じである。それぞれの原作にはもっといいシーンがあるはずなのに、それを差し置いてまでサービスシーンを持ってくるのは作者に失礼というものである。全体的にアクションRPGとしてはそこそこの出来(だと私は感じた)であるのに、原作をないがしろにしている部分が少なからずあって、そういった部分は残念なものだった。やはり所詮ファンアイテムのキャラゲーと言われてしまっても仕方が無いかもしれない。最後に原作厨な私にとって衝撃的だったことを紹介して締めよう。亜美(とらドラ!)の扱いである。一応サブヒロインのはずなのに、最終章で台詞無しの雑魚中ボスで登場していた。しかも量産。余りにもかわいそうで倒すのを躊躇したほどである。本当に開発チームは原作を読んで理解しているのかどうか怪しくなった瞬間であった。