吉野源三郎著「きみたちはどう生きるか」感想~「人間分子の関係、網目の法則」は今でも有効?
吉野源三郎著「きみたちはどう生きるか」の感想(レビュー)です。 【中古】文庫 君たちはどう生きるか【10P10Apr13】【画】【中古】afb大学生のゼミの時にこの本を1回読みました。手に取ったのはその時以来ですのでもう10年以上前の話です。人間の記憶とはいい加減なもの(というか私の記憶力が悪いだけでしょうが)で私が思っていたイメージとはだいぶ違う構成でした。私の記憶はこの本の主人公「コペル」君が「人間分子の関係 網目の法則」と名付けた部分でした。よってこのような話がずっと続くのかと思っていたのですが、このお話はいくつかある話の1章に過ぎなかったのですね。とは言っても丸山真男が「人間分子の関係、網目の法則」と命名する発見について「この作品の読者にはおなじみの印象的な一節です」(p311)と書いているのでこの本のキモ(の1つ)と言っていいように思います。コペル君が「人間分子の関係 網目の法則」と名付けたのは何のことか?コペル君は粉ミルクを例にとり、オーストラリアの牛から日本にいる僕の手に来るまで多くの人間が出てくる事を述べています。そして「数え切れないほど大勢の人間と繋がっているのは僕だけじゃないということを知りました」(p87)と言い「人間分子は、みんな、見たことも会ったこともない大勢の人と知らないうちに、網の目のようにつながっているのだと思います」(p87~88)と続け、これを「人間分子の関係、網目の法則」と名付けました。これに対して「おじさん」は、学者がこの法則を「生産関係」と呼んでいると指摘します。「生活に必要なものを得てゆくために、人間は絶えず働いて来て、その長い間に、いつの間にかびっしりと網の目のようにつながってしまった」と述べています。ちなみに大学のゼミでは「このような「生産関係」と呼ばれる生き方は今でも有効か?」と言うことが先生から問われた訳です。(例外はあるけど)基本的には自分も働くことによってこの網の目の中に入っている訳ですが、この労働によって網の目に入っていく生き方が「今でも生き方として有効か?」との問いであった訳です。皆さんが今この問いを投げかけられたらyesと答えるでしょうかそれともnoと答えるでしょうか?簡単にはyes,noのどっちが正しいとは言い切れないかもしれませんね。 【中古】文庫 君たちはどう生きるか【10P10Apr13】【画】【中古】afb