〈名字の言〉 2016年8月4日
関西創価高校硬式野球部の、ある出身者は、コーチの一言を今も覚えているという。「学園の野球部に補欠はいない。全員が“心のレギュラー”になれ」▼選手権の地方大会で、東西の学園生の活躍が光った。ともにベスト4。グラウンドの選手はもちろん、ベンチ、スタンド一丸で戦う姿が美しかった。3年間、一度もベンチに入れなかったが、チームに尽くしたいと自ら応援の中心者を志願した選手、熊本の実家が地震で被災しながらも部員を支え続けたマネジャー。ベンチとスタンドにも“全員野球”があった▼かつて創立者の池田名誉会長は、惜敗した野球部員に語った。「君たちがここまで勝ってこられたのは、試合に出ることなく陰で支えてくれたメンバーがいたからだよ」「そのことを生涯、忘れてはいけない。創価の野球はそういう人を大切にする野球なんだ」▼陰で尽くしてくれた仲間を忘れない。ベンチに入れなくとも、同じ志で戦う――技量だけでなく、人間性を磨いた人には、“人生の甲子園”で必ず花開く時が来る▼勝負だから勝ち負けはある。しかし、最後まで全力プレーを貫く球児たちの姿は、勝敗を超えた大事な“何か”を教えてくれる。甲子園は、きょう組み合わせ抽選。夢舞台での熱闘が、今年も始まる。(友)