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コレステロール2

化学的に厳密にいえば、コレステロールには一種類しかありませんが、最近の研究によって血液中を流れる際に結合するリポタンパク質に違いのあることが明らかになりました。

 一つはLDLと呼ばれる低密度リポタンパク質であり、もう一つはVLDLと呼ばれる超低密度リポタンパク質です。これらのリポタンパク質は、肝臓で合成されたコレステロールと結合し、コレステロールを必要としている細胞へ輸送する役目を果たしています。細胞膜には主要なアポタンパク質であるアポタンパク質Bを特異的に認識するレセプター(受容体)があり、その助けを借りて、コレステロールは細胞内に取り込まれます。しかしその割合が多過ぎると、血管壁に蓄積するようになり動脈硬化の原因になることから、VLDLコレステロールやLDLコレステロールは「悪玉コレステロール」と呼ばれています。

 コレステロールはまたHDLと呼ばれる高密度リポタンパク質とも結合します。このリポタンパク質は細胞で過剰になったコレステロールや血管壁のコレステロールを動員し、肝臓に集め、胆汁の働きで便とともに排泄します。そのためHDLコレステロールのことを「善玉コレステロール」ともいいます。

 このように肝臓で作られた「新鮮な」コレステロールが組織に運ばれる一方、「使い古された」コレステロールは肝臓に戻され処理されます。身体の組織はすべて、持っているコレステロールを定期的に新しいものに取り替える必要があり、この働きは絶え間なく続けられています。大切なのはこの二つの働きの間にバランスがとれていることなのです。

 血液中を循環している「悪玉コレステロール」の量がある一定のレベル以下にとどまっている間は、「善玉コレステロール」が過剰になったコレステロールを難なく外に運び出すことができます。しかしこのレベルを超えると、HDLコレステロールの手に余ることになり、LDLコレステロールが血管壁に蓄積し始めます。

 脂質の構造に関する限り、善玉であるか悪玉であるかにはあまり意味がありません。重要なのはその量と、HDLであるかLDLであるか、つまり輸送リポタンパク質の性質です。HDLとLDLは同じコレステロールと結合しますが、異なった複合体を形成します。この二つの複合体の比率が潜在的な危険の大小を決めることになります。


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