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パニック発作を起こす病気

パニック発作を起こす病気は、パニック障害だけではありません。発作を起こし、病院を受診した患者の3分の1以上はパニック障害ではなく、その他の病気が原因で、パニック発作のようなものを引き起こしていたというケースが多々あります。
 パニック障害と間違われる代表的な病気のひとつに「過呼吸(過換気症候群)」という病気があります。過呼吸は呼吸器系の疾患で、心理的な要因や、社会的な要因、患者の性格などが関係して発作を引き起こします。呼吸が荒くなり、動脈血の中の炭酸ガス濃度が低下するため、炭酸ガスを吸わせる必要があり、紙袋を口にあてて呼吸をさせる「ペーパーバック法」で発作を鎮めます。
 しかし、“脳の病気”であるパニック障害の患者にとっては、炭酸ガスはパニックを引き起こす元になってしまうため、発作の時にペーパーバック法を行うのは大変危険な行為です。
 また、甲状腺の機能亢進や機能低下、副甲状腺の問題も含め、甲状腺に疾患がある場合、パニックと同じような発作を起こす可能性もあります。その他、痙攣発作が起こる場合もありますので、てんかんなどの発作性疾患の鑑別をする必要もあります。
 つまり、同じような発作に見えても、それぞれ違った病気であり、対処方法もさまざまであるわけです。そのため、心電図やエックス線などで、心臓や肺の病気ではないということをしっかり確認し、原因を正しく判断することが重要になります。
 さらに、パニック発作を起こすものとして「不安障害」という一群の病気があります。これは、高いところや狭いところが怖いといった「恐怖症」、何度も手を洗ったり、鍵の確認などをせずにはいられない「強迫性障害」、事故や監禁など強いストレスにさらされた後に起きる障害である「PTSD(外傷後ストレス障害)」、強い恐怖やストレスを感じる時に発作を起こす「ASD(急性ストレス障害)」、あらゆることが心配の種になってしまう「全般性不安障害」、人前で話したりするときにひどくあがってしまう「社会不安障害」、そして「パニック障害」の7つを、ひとつのグループにしている呼び方です。
 しかし、同じ「不安障害」というグループであっても、パニック障害と他の6つの障害には大きな違いがあります。パニック障害以外の不安障害の原因は、ストレスや性格などが関係していますが、パニック障害は脳の病気のため、治療方法も考え方も違ってきます。「パニック発作=パニック障害ではない」ということを理解し、不安障害の種類を鑑別して、正しい治療を行うことが病気の改善になります。


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