虫歯も歯周病も歯の表面にこびりついている
「細菌の塊」=「バイオフィルム」によって引き起こされる
「バイオフィルム感染症」であると言われています。
けれども、「バイオフィルム??、、?」という方がほとんどだと思われます。
文字どおりなら「生きている膜」ですが・・・
お口の中で「バイオフィルム」といえば、簡単にいうと、
歯垢(プラーク)のことです。
バイオフィルム(細菌の塊)はなにも歯の表面だけにできるわけではありません。
水などの液体を運ぶ金属配管の内部にできて、金属を腐食させる(溶かす)のです。
ですから、従来バイオフィルムの研究は工業分野で進められてきました。
歯もカルシウムという金属でできていますから、
この現象(微生物による腐食)は起きると考えられます。
この現象は
MIC (Microbiologically Influenced Corrosion)と呼ばれていて、
バイオフィルムの内部と周辺部では溶けている酸素の濃度に差があり、
#内部が嫌気的(酸素が少ない)、
その酸素の濃度勾配があると、酸素と水が水酸イオンになる過程で
金属から
電子を奪い、
バイオフィルムが付着している金属が溶けるというものです。
工業分野での微生物腐食はこちら
↓
http://www.biochemeng.bio.titech.ac.jp/research/biofilm/biofilm.html
歯はpH4程度の酸では容易に溶けるものではないという実験から、
もっと「酸/アルカリ」とは別の虫歯の原因があると考えていましたが、
このMICという現象もこれだと思います。
これは
「酸化/還元」という、「酸/アルカリ」の概念を含む
さらに上位のカテゴリーに属します。
歯が溶ける虫歯というこの病、原因も単一ではなく奥が深いようです。
歯の表面にこびりついたプラーク(バイオフィルム)の下に
帯状に白く歯の表面が変色(脱灰)しているのは、
初期の虫歯とされていますが、
これはMICによるものではないかと思います。
・・・ということはやっぱり歯は良く磨いて、
バイオフィルムを常に除去しておく必要はありますね!