70代男性、左下6 ハイブリッドクラウン2次カリエス。
この症例はは14年前、ハイブリッド素材(実体はただのCRを重合法を工夫し、FRP手法で丈夫な構造にしたものですが)が出始めて、
いろいろと試行錯誤していた頃のものです。
結果的にはハイブリッドはダメダメというか、僕にとっては失敗の黒歴史ですw
CR充填の方がはるかに丈夫ですw
メタルクラウンを引張り強度の低いレジン系素材に置き換えるをいう発想自体が誤りだったのです。
開発元の欧米ではそもそも仮歯扱いで長期使用は推奨されていないと思います。
欧米では仮歯でも、製作コストは掛かるので日本では仮歯と言われると患者は受け入れてくれません。
欧米は歯科治療費が日本の10倍とかしますので、ハイブリッドクラウンが仮歯として受け入れられるのでしょう。
そういう社会的状況の違いがあるのです。
最近はCAD/CAMのハイブリッドクラウンが保険導入されましたが、たぶん失敗に終わるでしょう。
出始めのハイプリッド素材は耐摩耗性や剛性は今のモノより劣ってはいましたが、
それでも条件がよければ、10年程は保つようです。
冠を削り取ると内部は虫歯です。素材が咬合力でたわみますので、穴やダツリ部分から唾液を吸い込みます。
細菌に取っては栄養や酸素ですから、虫歯菌といわれる好気性/通性嫌気性菌が増えて虫歯を進行させます。
電解質も常に新しいものが咬合の度に出入りしますので、電気化学的にも腐食は進行しやすい条件となります。
しかも鋳造工程が入らないので、非常に適合性が良く、内部がひどい虫歯になってもダツリしにくいので、
ひどいことになり易いと言えます。
スプーンエキスカベータで取れる範囲の軟化象牙質を除去しました。
メタルコアもダツリしています。
ポスト部分を削ると簡単に取れました。
内面は酸化/硫化しています。
ほとんど全部軟化象牙質です。
軟化象牙質を除去したあとです。
なんとか使えそうです。
やれやれ。。