8歳女子、左下D、歯肉息肉、自発痛ー
虫歯で露髄して、露髄した神経が息肉化しているというケースはたまに見かける。
息肉というものは感染と戦っている病的な組織で膿瘍に近い。外来刺激への抵抗形態と認識されているが、表層は組織的には安定している粘膜に近い。
確かに感染してはいるが免疫力で細菌と拮抗している組織だ。
このまま直接覆髄しても問題ない。歯髄切断とか抜髄とかしなくても痛くなったり壊死したりはしない。もちろん抗菌剤添加α-TCPセメントと緊密な充塡処置が必要ではあるが。
僕がここでご紹介している近未来型根管治療もこれの延長型で、歯髄がどこまで生きているか、冠部歯髄の単なる露髄か、根尖付近まで歯髄が失われているか、その途中か、ということは関係ない。
もちろん歯髄が息肉化しているかそうではないか、ということも関係ない。
この症例では歯髄息肉だけではなく、歯肉息肉もあったが、CR充塡処置の邪魔になるので、キシロカインと電気メスで除去した。
部分的にα-TCPセメントで覆われていなくても、出血により辺縁封鎖性が損なわれないとすれば、このままCRでカバーしても問題ない。
α-TCPとはハイドロキシアパタイトつまり歯牙の主成分なので、根菅内部やクラックが
化学的に埋まっていく。2次象牙質の形成には象牙芽細胞が必要と考えられているが、必ずしもそうではないようだ。
では時系列でどうぞ。実像と鏡像が混ざっているのはご容赦
ストリップスを使わない技法でないとこの手の緊密なCR充塡は失敗する。