未だ30代女性、右上7、インレー2次カリエス
https://plaza.rakuten.co.jp/mabo400dc/diary/202208100002/
あれから4年経って、欠けたので再治療して欲しいということだったが、他にもあるというので、拝見することにした。
この右上7の近心辺縁隆線が欠けたのは、見た感じ1年程前のように感じたが、あるいはもっと最近のことだったのかもしれない。他の部分を見た限り、虫歯の進行が早すぎると思ったからだ。
この歯は内部を開けてみたが、α-TCPセメントに守られていたので、4年前とそれほど変わらなかった。ただ欠けた近心の歯肉側は深い虫歯にはなっていたが、なんとか充填できた。
α-TCPは歯質と同じ成分のハイドロキシアパタイトで、結晶が密ではないので、イオン化傾向が歯質より大きいと思われ、先に溶けて歯質を守る。これは他のセメントにはない大きなメリットだと思う。
これを腐食工学分野ではカソード防食とよんでいる。鉄を亜鉛メッキすると錆びにくいというのがその例だ。
他の部分の虫歯も4年経過にしては咬合性外傷があるにしても進行が早いようだったので、訊いてみると、砂糖を非常に多く摂っていたということがわかった。それに関してはまた次回にでも。
では時系列でどうぞ
遠心のクラック(矢印)もそれほどでもない。近心の虫歯(楕円部分)は歯肉縁の深いところまで進行していた。
欠けたらすぐにいらっしゃればここまで進行していなかったと思う。
再度α-TCPセメントで覆う。
前回と見比べてもクラックは塞がっているようにも見える。
CRで再建して終わる。内部の象牙質は失われているので、強く噛むのは避けた方が良い。
つづく