咬合性外傷によるクラックがあると隣接面カリエスや歯茎部カリエスになりやすいが、さらに虫歯の進行を早めてしまう原因として黒砂糖や蜂蜜を頻繁に摂取するということがある。
前々回ご紹介した症例はこのケースで、この糖質健康法は流行っているようだが、咬合性外傷のある方は注意する必要がある。
今回の症例は妊娠授乳期が長く続き、唾液中の重炭酸イオンつまり重曹成分が不足し、酸性飲料や口腔細菌が代謝した酸を中和することが十分でなくなっているケースだ。
いずれにしても飲食後速やかに重曹うがいをすることによってカリエスリスクを下げることができる。
虫歯は酸性環境下で、かつ、歯牙内外の何らかの起電力が発生する場合にのみ発症する。
このどちらか一方を無くしてしまえば良いのだが、起電力よりも酸をアルカリ(重曹)で中和して無くしてしまうのが最も簡単で効果的だ。この中和システムは炭酸緩衝系として生体には元々備わっている。
これを強化するのが重曹うがいだ。
今回はCR充填というより欠損部位の再建の一部始終を時系列でアップしてみる。
穴の部分を拡大してみると辺縁隆線にクラックが2本見える。この部分は治療中に欠けて飛んで行った。
穴を開拡していくと内部の象牙質は軟化している。これがいわゆる象牙質の虫歯だ。象牙質は有機質を30%含むので、リン酸カルシウムは溶出しても有機質は残る。これが軟化象牙質で、触った感じはカマンベールチーズ様だ。
エナメル質の虫歯は白濁している。エナメル質はほとんどリン酸カルシウムという無機質なので、ところどころ結晶構造が乱れたところが白く見える。スリガラスと同じだ。
クラック部分は飛んで行った。
内部は1/3程象牙質が失われていて、中心部には2次象牙質が見える。ちっとだけ周囲より暗く見えるところがそれだ。
ペラペラのエナメル質でもなるべく残す努力をする。
α-TCPセメントで軟化象牙質部分を覆とうする。
虫歯は細菌感染症ではないので、軟化象牙質(虫歯)を全部取る必要はない。
全部取ると露髄してしまう。露髄してもα-TCPセメントで直覆すればすぐに直下に2次象牙質ができるが。
軟化象牙質はα-TCPで再硬化する。なぜならα-TCPは象牙質の無機質部分の主成分そのものだからだ。
現在の歯科医学では虫歯は細菌感染症で取り残すと再発するというか、虫歯は全部取らないと進行し続けると信じ込まれている。虫歯を全部取ると神経は出るし(露髄)、それでも虫歯を完全に除去することはできず。感染した歯髄は後で痛くなるので、取るしかないということになる。
通常の歯科医療ではそうせざるを得ないが、3MI◯+α-TCPセメント+CRを使えばその限りではない。
今回はストリップス(隔壁)を使う余裕があった。コンタクトポイント直下までCRを充填する。
コンタクト部分は直接CRを流しても良い。エキスカでこじると剥がれる。
フロアラブルレジンは
SHOFUのビューティフルフローF00が使いやすい。非常に審美性も高く、僕が見ても歯質との区別がつかない。