今日は続けて同じような歯根破折の症例が2件あったのでご紹介。
どちらも70代女性で、外傷性に歯根破折したのだが、上顎洞炎(慢性副鼻腔炎:蓄膿症)があって数年前から時々鼻の調子が悪くなって耳鼻咽喉科に通っていたそうだ。
僕はその話は知らなかったのだが、抜歯した後の膿瘍掻爬の時に器具が上顎洞に突き抜けた感触があったので訊いてみて分かった。
最初の症例
左上7、歯根破折
レントゲン写真では破折線は見えないが、上顎洞の炎症が疑われる所見だ。通常は上顎洞は黒いのだが、白っぽくなっている。上顎洞の粘膜が炎症性に肥厚していることを伺わせる。
補強冠越しに破折した
縦に破折している
虫歯を除去して保存を試みたが諦めた
夥しい膿瘍が出てきた。掻爬時に鋭匙で上顎洞に抜歯窩が交通しているのを確認した。
これだけの炎症があり上顎洞と繋がっているとあっては抜歯も仕方がない。再植は無理だろう。
2例目
右上4、歯根破折
この方も時々耳鼻咽喉科に通っているという方で、やはり歯性上顎洞炎を疑う。
膿瘍掻爬時に抜歯窩が上顎洞と交通しているのを確認できなかったが、レントゲン写真では白っぽいか。
そもそも根管の緊密充填など絵空事だとよく分かると思う。神経を取る治療は上手くいかないのはこういうことだ。根管充填材は根尖まで届いていない。こんなのばっかりだ。全てのトラブルの原因はここにある。
ぱっちん義歯の修理が必要