50年代シリーズ6(東通工製P-3型)
大掃除中に筐体にカビが生えていた70年前のテープコーダーという録音機を綺麗にしていた。当然オール真空管だ。50年代シリーズはシリーズと呼べるほどには数が少ない。なぜならその頃はまだ高度経済成長期が始まったばかりで、工業製品はまだまだ高価な貴重品で初任給どころか年収をかけないと手に入らないものだったから出回っている数が少ないのだ。この製品は東京通信工業製で今のSONYの製品だ。1954年のカタログに出ている。日本で一番多く使われている。お値段は69,500円と書いてある。69,500円というのは、当時の高卒の初任給が5,900円だったそうなので、ざっと1年分の年収に相当する。今の200万円近い。今だったら車が買えないことはない。そんな感じのお値段だ。東通工のエンブレムも七宝焼なのかエナメルなのか、お金がかかっているように見える。今のように大量生産ができるという品ではなかったので、高価なものになっているが、今後はどうなるか分からない。資源エネルギーの減耗とともに大量生産大量消費ができなくなると値段は上がってくるだろう。スマホが100万円という時代が来る。それどころか脳内チップ埋め込みでAIに支配されるマトリックスの世界が来るかもしれない。そのような大規模システムの維持ができるほど電力供給能があるとも思えないが。