今日の抜歯再植術シリーズ31
40代女性、左上1、歯根破折歯根にポストを挿して歯を作るいわゆる差し歯というものは歯根を壊してしまう。これは構造工学的にはカンチレバーと言って当然そうなることが予想されるNGな構造だ。ポストにテーパーが付いていなければ幾分マシだとは思うが。信じられないことに歯科業界ではなぜか100年以上に渡って使い続けられている。神経を取って補綴物を入れて儲けるというビジネスモデルから抜け出せないというだけなのだろう。まずはレントゲン写真のbefore/afterからbeforeafter1年以上前から腫れたり違和感があったりしていたのだが、いよいよ痛くなってきたので抜歯・再植に踏み切った。差し歯はポストごと簡単に抜けた。歯根は3つに縦に割れていた。一番大きな破折片だ。大きな膿瘍が付着している。この部分の唇側の歯槽骨は吸収が進んでいた。歯肉が下がると思う。審美的にはよくないが仕方がない。2番目に大きな破折片。ここにも大きな膿瘍が抜歯窩に残っている膿瘍は掻爬する。抜歯窩の歯槽骨面にも歯根膜の一部の細胞が残っているかもしれないので、あまりしつこく掻爬する必要はない3MIX添加の生理的食塩水のシリンジで洗浄これがパーツの全て膿瘍。人体と細菌等とが戦っている炎症性の組織。ここから膿が出る使えるパーツの膿瘍を外科バサミで除去して生食水で洗浄した。破折片を仮組してみた。今回は差し歯は使わない。十分綺麗だったり一回で終わる必要がある場合はポスト周りに破折片を貼り付ける形で修復することもある。各パーツの接着力を最大化するために接着面を一層削って新鮮面を出す。接着強度を増すためにディンプルやアンダーカットも付与する根尖口も開拡しておく2番目に大きな破折片も同様に処理する3つとも綺麗にしたら、組み立て手順を練習する合わせてみているところスーパーボンドの筆積み法で一挙に組み立てる既成のメタルポストを挿入してスーパーボンドで象牙質風に築成するスーパーボンドの上にCRでエナメル質風に築成する。スーパーボンドが硬化していなくても触ることができる根尖や接着面にスーパーボンドが流れていない部位がないかしっかり確認する抜歯窩に再建した歯根を挿入する前に両隣接歯にスーパーボンドを塗布しておく挿入この辺りから少し痛みを感じる抜歯窩にしっかり挿入されているか回転させながら確認する。残っている歯牙の面積によっては頬舌的に反対に挿入する場合もあるスーパーボンドとCRで歯列固定ついでにCRで歯冠を再建しておく仮歯だがこれで患者が満足するようならこのまま終わっても良い。本来ここが歯医者にとっては儲けどころなのだがw食渣が迷入しないようにデュラシールで包帯しておく。抗生剤投与して1週間以内に包帯は除去する