電気防食としての重曹洗口
虫歯とは金属腐食と同じで電気化学的な腐食なんだよというお話や微生物はその腐食を促進するので、微生物腐食という名前が付けられて研究されていることは、前項までの「酸で歯がとける?シリーズ」でご紹介しました。その虫歯対策としての電気防食の概念として、判りやすい図がありましたので、ご紹介しておきます。表題画像です。 電気防食の原理は、図9の電位-pH図で説明される.自然腐食状態にある金属の電位をC方向に下降させて不感域に移行させるのが陰極防食であり、A方向に上昇させて不動態域に移行させるのが陽極防食である.また、P方向のようにpHによっても不動態域に移行できる.電気防食は水中や土中の装置や施設に広く採用されている.装置や施設の防食状態は、電位を測定することで容易にでき、その信頼性も高い.さらに、腐食抑制剤の添加など、他の防食方法を併用すると、防食効果は一層向上する.このように、電気防食では、金属の電位を電流により変化させて金属の腐食を防止する.この方法は、防食電流の供給の仕方で、流電陽極法と外部電源法に区分される.その防食模型を図10に示す.流電陽極法では、マグネシウム、亜鉛、アルミニウムなどの低電位金属を陽極とし、両者の電位差を利用して防食電流を発生させる.外部電源法では、不溶性電極(例えばPtめっきしたTi、炭素電極など)を陽極として、適当な低圧直流電源を用いて防食対象物を保護する.・・ということで、P方向つまり、pHを弱アルカリ性方向に移行させるのが、「重曹洗口」の役割かと。。歯医者さん向け>C方向に移行させる修復材料としては「マグネシウム、亜鉛、アルミニウム」などの低電位金属が含まれた材料を使うのが吉です。具体的には、アマルガム(お手持ちなら)を奥歯に上下左右詰める(わざわざ掘らんでもいいけど)、インレー、クラウンはリン酸亜鉛かカルボでセット。でも酸化アルミ含有製品はだめでしょうね、電気の不導体ですから。A方向は特殊で通常はしない、そうです。引用文献:金属材料の腐食とその防止Introduction to corrosion and corrosion control佐藤 幸弘Yukihiro Sato大阪府立産業技術総合研究所研究報告,No.10,p.36(1997.7)より