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テーマ:AOR(111)
カテゴリ:音楽・AOR
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アルバム名と曲名/『THE SECRET OF MOVIN' ON』 ![]() プロデューサー/デヴィッド・パック 【デヴィッド・パックについて】 デヴィッド・パックは1970年代の西海岸で主に活動した「アンブロージア」のメンバーであり、そしてソングライターでもあった。グループはプログレ・バンドを目指して活動を開始したが、AORムーブメントの影響もあってパックの作風も徐々にAOR風のサウンドへと変化していく。 1980年代に入りグループは一端活動を停止して、メンバーは個個の活動へと移行する。パックの相棒でもあるジョー・プエルタは一時期ブルース・ホーンスビー&ザ・レインジでもプレイしていた。パックはクインシー・ジョーンズの勧めもあり、プロデュースや曲の提供をするなどの活動に専念していた。2003年には過去の音源をまとめた「Unborn」を発表し、完全なソロ作品が待たれていた。 【このアルバムについて】 1曲目のThe Secret Of Movin' On(Travelin' Light)はアルバムの表題曲であり、イントロのピアノの音色を聴いただけでグッと来る。パックのヴォーカルにハートのアン・ウィルソンが絡み何とも言えない彩を添えてくれる。演奏とアレンジも見事でヴォーカルを引き立てている。秋の夜長に聴けば最高かも。アコギの音色も素晴らしいと加えておく。2曲目のVertical Disbelief(That's Not Me)はジャズ色の強いナンバーだが、所属レーベルのPeakはジャズを中心としたレーベルだ。 3曲目のBiggest Part Of Meは、アンブロージア時代の1980年(「One Eighty」)に発表した曲でAOR色満点のナンバーでAORファンにはお馴染みの一曲だ。4曲目のTell Her Goodbyeはこれも何処と無くジャズ色の強い一曲で、ブラッシュ奏法のドラムスとアコギにのってパックが見事なヴォーカルを聴かせる大人なナンバー。これも秋の夜長向きか?元アメリカのドゥーイ・バネルが共演している。 5曲目のA Brand New Startは元ジャーニーのスティーヴ・ペリーとの共作でペリーと見事なハーモニーを披露している。声の質は似ているが、パックの方が力強い声をしている。正に大人のAORサウンドが凝縮された一曲だ。6曲目のYou're The Only Womanはこれも1980年のアンブロージア時代のナンバーだ。これも3曲目と同じアルバムに収録されていた。 7曲目のWhen Your Love Was Almost Mineは、パックがしっとりと歌い彼のヴォーカリストとして更に作曲家としての実力を示している。パックの何かに訴えかけるようにしみじみと歌う様子がヒシヒシと感じられる。8曲目のWhere We Started Fromはイーグルスのティモシー・B・シュミットと共演する。メディアム・テンポの流れに乗ってティモシーがパックのヴォーカルに絡む。 9曲目のEverlastingはステイシー・ヒムスなる女性のヴォーカルが入る翳りのある曲。バックの演奏もどこか哀しげだ。 10曲目のThink Of You(Song 4 Kaitlyn)は娘のケイトリンへ捧げた曲でインスト部分が長く、デヴィッド・べノワのキーボードとエリック・マリエンタルのサックスがリスナーをリラックスさせてくれる。 ラストのElizabethも曲名と同じ名前の娘に捧げたナンバー。これは完全なインスト曲で、流麗な演奏は娘への想いか? 【感想】 1曲目からラストまでパックの見事なまでの曲作り、ヴォーカル、演奏、アレンジが一体となった素晴らしい一枚である。プロデュースも彼自身だが、前作「Unborn」収録曲では折角の質の高い彼の曲をプロデューサーとして活かしきれていなかった。だが本作ではそうした課題は見事に解消されて、捨曲の無い見事な出来栄えだ。 演奏陣はデヴィッド・べノワ、ラス・フリーマン、スティーブ・フェローン、ヴィニー・カリウタ等の実力派が脇を固めている。 アンブロージア時代の曲も取り上げているが、出来れば現在のパックの曲をその分聴きたかった気もするがそれは贅沢か?敢えて注文を付ければ、あと2曲ほどアップテンポもしくはポップな曲があれば、アルバムの中のアクセントとなりより一層素晴らしくなったかも?でも、それは贅沢過ぎる願いであり、このアルバムは秋の夜長にじっくりと聴いて欲しい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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