|
カテゴリ:音楽・ザ・ビートルズ
人気blogランキングへ
![]() プロデューサー/ポール・マッカートニー 曲名 1 Venus And Mars 2 Rock Show 3 Love In Song 4 You Gave Me The Answer 5 Magneto And Titanium Man 6 Letting Go 7 Venus And Mars (Reprise) 8 Spirits Of Ancient Egypt 9 Medicine Jar 10 Call Me Back Again 11 Listen To What The Man Said 12 Treat Her Gently-Lonely Old People 13 Crossroads Bonus Tracks 14 Zoo Gang(Instrumental) 15 Lunch Box/Odd Sox(Instrumental) 16 My Carnival 【新生ウィングスのアルバム】 ウィングスは1973年に「バンド・オン・ザ・ラン」を発表し、見事に全米1位を記録しグラミー賞を獲得するなど一気に人気を爆発させたポール・マッカートニーがビートルズ解散後に結成したバンドである。 ところが前作はメンバーのドラマーとギタリストが、レコーディングに向う飛行機に乗る直前に脱退を表明するというアクシデントに見舞われた。結局ポール夫妻とデニー・レインの三人でナイジェリアのラゴスのスタジオに向かい録音された。 二人の穴を埋めるべくドラムスには現地で雇ったドラマーとポールが務めた。ポールはこのアルバムを「僕のソロアルバム」と言っているが、それではデニー・レインの立つ瀬が無い? メンバーを補充した新生ウィングスはカントリー音楽のメッカであるナッシュビルに向った。ここではセッションを繰り返しながら、リハーサル模様を収録した映画「One Hand Clapping」の制作に乗り出したがこれは未完成に終わる。 「Junior's Farm」「Sally G.」のシングルを発売し、前者はストレートなロックナンバーで、新加入のギタリストジミーの鋭いギターが唸る。後者はナッシュビルらしいカントリー・フレイバー満載の一曲だ。その年の11月に一度ロンドンに戻ってこのアルバム用に3曲の録音を済ませた。翌1975年初頭ニューオリンズで録音を再開したが、ここでドラマーが脱退してしまう。直ちに補充しポール夫妻、デニー・レイン(ギター)、ジミー・マッカロック(ギター、発音的にはマッカラー)、ジョー・イングリッシュ(ドラムス)のラインナップとなった。リンダとジョーはアメリカ人で、あとの三人は英国人の編成だ。(辞めた前任のドラマーは英国人) 5人編成で固まったウィングスはニューオリンズの、アラン・トゥーサン所有のスタジオで録音しアルバムを完成させた。 【このアルバムについて】 このアルバムはライヴを意識して制作されたとあって、1曲目のVenus And Marsからそうした雰囲気だ。ショウのオープニングのようなナンバーで、実際の当時のライヴでもこれと次の曲へと雪崩込むスタイルで始まる。2曲目のRock Showはいきなりタイトルどおりロック色全開の軽快なナンバーだ。Venus And Marsからほぼ繋がるメドレー形式だ。ジミーのギターも終始炸裂し、ポールも思いっきりシャウトしている。曲は一旦エンディングを迎えてから、再びアラン・トゥーサンのピアノのリフレインが付く。そのパートではポールが早口でまくし立てている。 3曲目のLove In Songはアビー・ロード・スタジオで録音されたナンバーで前任のドラマーのジョフ・ブリトンが参加している(邦題:歌に愛をこめて)。一転してしっとりとしたナンバーとなる。ポールがこのバラードを力強く歌っているのが特徴。4曲目のYou Gave Me The Answer(邦題:幸せのアンサー)は何処と無く'50~'60年代の雰囲気の漂うナンバーで、ポールはフレッド・アステアのイメージを抱きながら書いた曲だそうだ。当時のツアーでも披露されていたナンバーで、ポールはピアノを担当している。 5曲目のMagneto And Titanium Manは邦題「磁石屋とチタン男」で、ポールが当時興味を持っていたコミックスから題材を得て作った曲でツアーでも披露された。6曲目のLetting Goは邦題「ワインカラーの少女」で、ジョフ・ブリトンがドラムスを担当していた頃のナンバー。ツアーでも披露されていたナンバーで、ホーン・セクションをバックに従えてポールが歌いデニーがコーラスを付ける。LP時代はこの曲がA面最後となる。 7曲目のVenus And Mars(Reprise)からLP時代はB面の1曲目だったがCDでは7曲目に当たるナンバー。ここでは多少エコーを掛けたポールのヴォーカルが、まるで宇宙空間を漂っているように聞える。因みにタイトルの意味は「金星と火星」である。8曲目のSpirits Of Ancient Egypt(邦題:遥か昔のエジプト精神)ではデニーがリード・ヴォーカルを取り途中からポールがヴォーカルに加わる。当時のツアーでも披露された、何処と無くミステリアスな雰囲気を持ったアルバム中では異色の曲。 9曲目のMedicine Jarはギタリストのジミーが、ウィングス加入前のグループに在籍していた当時のドラマーとの共作曲。ポールはこの曲ではプレイヤーに徹している。ステージでも披露されていたが、特にこれといって特徴のないロックナンバー。10曲目のCall Me Back Againでは6曲目と同様にホーン・セクションを大胆に起用しているが、こうしたアレンジはポールの曲のイメージとは多少外れた位置にあると思うがそれもポールの特徴である。個人的には9,10曲目は多少退屈なナンバーと感じている。 11曲目のListen To What The Man Said(邦題:あの娘におせっかい)は、このアルバムの表紙のような曲である。個人的にもこの曲はポールの全レパートリーの中でも最もポップなナンバーであり、当時のライヴでは披露していたのに最近では全く披露されないのは残念である。ビルボード紙では見事に1位に輝いている。ポールの恋愛感?が歌詞全体を覆っているかのようで、聞いているとウキウキしてくる楽しい一曲でもある。演奏面ではアコースティック・ギターにデイヴ・メイソン、印象的なサックスの音色を聞かせているのはトム・スコットだ。トム・スコットのサックス・ソロはリハーサル・テイクを本人に内緒で録音して採用したそうだ。12曲目のTreat Her Gently~Lonely Old Peopleは11曲目のラストと繋がる形で始まる。明るい曲調が続く中でアルバムの事実上のラストを飾る壮大なバラードだ。ポールはピアノを弾いていて、バックには ハープやストリングスを配しておりポールのヴォーカルを引き立てている。途中からはジミーのギターも入り、このギターがストリングスとピアノと絡んで良い調和をかもし出しでいる。 13曲目のCrossroadsは、ショウのエンディングを告げる役目を担っている。ポールのオリジナルではなくて、トニー・ハッチがTVシリーズ「クロスロード」のテーマで実際にエンディングに使用されていた。だがまるで12曲目と繋がって一つの曲のようにも聞えてくる。 14曲目からはCD用のボーナス・トラックでZoo Gangは今回のセッションとは関係ない1973年1月の録音で、TVシリーズのテーマ曲としてポールが提供したインスト曲。英国でシングル「Band On The Run」B面として発表されていた。15曲目のLunch Box/Odd Soxもインスト曲だが、こちらは本アルバム用セッションで録音された不思議な雰囲気を持つ。1980年のシングル「Coming Up」のB面に同曲のライヴ・バージョンと共に収録されていた。最後のMy Carnivalは本アルバムのセッションで録音されたが、収録は1985年のソロ名義のシングル「Spies Like Us」のB面として収録された。ウィングスのメンバーがリラックスしながら演奏している様子が伝わってくるかのような曲だ。 【ウィングス絶頂期の一枚】 ウィングスとしては正にこの頃が絶頂期であり、この当時のライヴ盤「Wings Over America」はLPで3枚組の大作であり当時の熱狂が収められている。更に、映画版「Rock Show」では映像としてステージを見ることが出来る今では貴重な資料だ。私は公開当時は高校生だったが映画館でしっかり観ましたし、ビデオも持っています。1975年11月には豪州公演に続く日本公演も組まれていながら、公演1週間前に法務省が過去の麻薬歴を理由に急遽発行済みの査証を無効にした為に流れてしまった。 ウィングスの日本公演は1979年にも企画されたが、成田空港で現行犯逮捕されて再びキャンセル。遂に一度もウィングスとしての公演は実行でき無かったのは残念でたまらない。 最近のポールの公演でもウィングス時代の曲は定番曲のみとなり、本アルバムからも全く演奏されない状態に陥っている。米国でもそうしたポールの選曲に一部で不満があるものの、ポールは相変わらずウィングス時代の曲を演奏しないのは何故か?せめて日本では特別に何曲か演奏してもらいたいな~。 「あの娘におせっかい」を生で聴けたらもう一生の思い出になるのですが...。 【バック・ナンバー】 1.リー・リトナー「RIT」(1981) 2.ボズ・スキャッグス「MIDDLE MAN」(1980) 3.ジェイ.P.モーガン「JAYE.P.MORGAN」(1976) 4.クインシー・ジョーンズ「THE DUDE」(愛のコリーダ)(1980) 5.サントラ盤「FOOTLOOSE」(1984) 6.ヒューイ・ルイス「SPORTS」(1983) 7.ジョン・レノン「IMAGINE」(1971) 8.フランキー・ブルー「WHO'S FOOLIN' WHO?」(1982) 9.ワークシャイ「OCEAN」(1992) 10.バーシア「SWEETEST ILLUSION」(1987) 11.グロリア・エステファン・アンド・マイアミ・サウンド・マシーン「LET IT LOOSE」(1987) 12.リンゴ・スター「RINGO」(1973) 13.デイン・ドナヒュー「DANE DONOHUE」(1978) 14.フィル・コリンズ「NO JACKET REQUIRED」(1985) 15.ビリー・ジョエル「GLASS HOUSES」(1980) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[音楽・ザ・ビートルズ] カテゴリの最新記事
|