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カテゴリ:ヨーロッパ映画
79.パンズ・ラビリンス
■原題:Pan's Labyrinth ■製作年・国:2006年、スペイン・メキシコ ■上映時間:119分 ■日本語字幕:松浦美奈 ■鑑賞日:10月20日、シネカノン有楽町1丁目(有楽町) ■公式HP:ここをクリックしてください ![]() □監督・脚本・製作:ギレルモ・デル・トロ □製作:アルフォンソ・キュアロン、ベルタ・ナヴァーロ、フリーダ・トレスブランコ、アルヴァロ・アウグスティン □製作総指揮:ベレン・アティエンサ、エレナ・マンリケ □撮影:ギレルモ・ナヴァーロ □音楽:ハヴィエル・ナヴァレテ □音響:マルティン・エルナンデス □編集:ベルナ・ヴィラプラナ □美術:エウヘニオ・カバレロ □特殊効果:カフェFX □特殊メイクアップ:ダヴィド・マルティ、モンセ・リベ ◆セルジ・ロペス(ビダル大尉)フランコ体制の大尉で冷酷無比な性格 ◆イバナ・バケロ(オフェリア)父を亡くし母と二人でビダルと共に生活をすることになるが... ◆アリアドナ・ヒル(カルメン)夫を亡くし娘のオフェリアを連れてビダルと再婚する ◆マリベル・ベルドゥ(メルセデス)ビダルの身の回りの世話をするが反体制派の弟と内通してビダルを倒そうとする ◆牧神パン(ダグ・ジョーンズ)オフェリアを王女様と信じて迷宮に誘う役割を果たす ◆ペイルマン(ダグ・ジョーンズ)子供をお菓子で誘い亡き者にしようとする怪物 【この映画について】 少女は生き延びるために迷宮の世界へ降りて行った。そうしなくてはならないほど現実の世界は残酷で孤独だったから。 第79回アカデミー賞で撮影・美術・メイクアップの3部門を授賞したのをはじめ、世界各地で絶賛された本作は、ギレルモ・デル・トロ監督が卓越したイマジネーションと映像センスを駆使し現実とファンタジーが混じった作品だ。 戦争を通じて人間社会の愚かさと執念深さなども散りばめながら、一人の少女が誘惑に負けながらも成長していくオフェリアを演じたイバナ・バケロの健気さ、ビダルを演じたセルジ・ロペスの恐ろしさも絶品。 【ストーリー】(ネタばれなし) 1944年、内戦終決後のスペイン。仕立て屋だった父を亡くした少女オフェリアは、身重の母カルメンと共にゲリラが潜む山奥で暮らし始める。そこは母が再婚したフランコ軍のビダル大尉の駐屯地だった。 移動の途中でも体調の思わしくない母を心配して休憩する。その間にオフェリアは山道で石塚の破片を見つけ、元に戻すと昆虫のナナフシが飛び出してきた。 オフェリアは冷酷な義父にどうしても馴染めないでいた。ビダルは母の体調よりお腹の中の子供の成育を気にかけていたからだ。でもビダルの身の回りの世話をする女中頭のメルセデスは優しくオフェリアも彼女には気を許していた。しかし山荘に到着したその日の夜、オフェリアはメルセデスと主治医が密談している現場を目撃してしまう。実は二人はゲリラ側の内通者で体制側の情報を交換し薬を融通したりして便宜を図っていた。 その夜更け、彼女の前に昼間のナナフシが現れた。オフェリアが呼びかけるとナナフシは妖精に姿を変えて森の中の迷宮へと導く。そこではパン(牧神)が王女の帰還を待っていた。オフェリアは魔法の王国に戻るために3つの試練を与えられるのだった。 3つの試練を乗り越えれば父である国王陛下と母である月の女神が待つ魔法の国へと戻ることが出来ると告げた。 第1の試練は「死に掛けている森の巨木を蘇らせること」。第2の試練は「壁の向こうの世界で時間内に黄金の鍵をを持ち帰ること」。第3の試練は...。 母は難産の末、弟を出産して死んでしまった。一人になってしまったオフェリアは生まれたばかりの弟を迷宮に連れて行くことを決心する。その頃、ビダルは反体制側との激しい戦闘に明け暮れていた。メルセデスは反体制側の弟と連絡を取り、ビダル側を追い詰めようとするが...。 さて、ここから先は核心に迫って来るのでポイントだけを書く。 1.母カルメンとビダル大尉が知り合ったきっかけとは? 2.ビダルは何故身重のカルメンを危険を冒してまで山荘まで移動させてのか? 3.パンはオフェリアを無事に迷宮へと導けたのか? 4.オフェリアはパンが与えた3つの試練を全てクリア出来るのか?3つ目の試練とは? 5.オフェリアはビダルの追跡をかわして弟を無事に迷宮へ一緒に届けることが出来るか? 6.激しくなった戦闘の中で、果たしてメルセデスと弟の運命は?主治医の運命は?などを中心に是非この美しい映像と独特のメイクの世界は映画館でご覧下さい。 【鑑賞後の感想】 今年のアカデミー賞授賞式を見ているとこの映画のタイトルがやたらに出てきて気になっていた。いつになったら公開するのかと待っていてやっと公開された。 3部門の授賞はいずれもビジュアル系の部門で、この映画のビジュアルがいかに優れているか知ることが出来る授賞結果である。 ストーリーの舞台は第二次大戦終結前のスペインで、ビダル率いるフランコ軍側と反体制派との攻防が一つの柱。そこに、母娘の物語が絡みファンタジーと現実の戦争の世界が目まぐるしく変わりながら展開していく。 オフェリアは牧神パン(パンを見ると人間は混乱するというギリシャ神話があり、英語の「Panic」の語源となっています)から与えられた試練に果敢に挑戦する。しかし子供であるオフェリアは途中で誘惑に負けてしまい途方にくれる。そんなオフェリアに「再挑戦」させるべく牧神パンは迷宮に何とか導いてくれる。いつの間にか子供のオフェリアは精神的に強くなっていく。 その一方で、現実の世界は戦争に明け暮れ冷酷な指揮官である義父との関係はギクシャクしている。その義父は山荘で働く女中頭や医師が敵側に内通していことなどから、大人の世界の醜さをこちらは描いている。 夢と現実の世界との違い、強固な信念を持って行動すれば夢は叶うことをこの物語は伝えてくれている。 オフェリアを演じる子役、ビダルを演じるセルジ・ロペスの冷酷さと私人としての素顔の演じ方は見事だった。 【自己採点】(100点満点) 86点。映像やメイクの鮮やかさや、ストーリーの展開も夢が持ててとても良かった。 人気blogランキングへ←映画の話題がザクザク
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