2008/06/22(日)12:15
映画『アイム・ノット・ゼア』を観て
44.アイム・ノット・ゼア
■原題:I'm Not There
■製作年・国:2007年、アメリカ
■上映時間:136分
■字幕:石田素子
■鑑賞日:5月1日、シネマライズ(渋谷)
■公式HP:ここをクリックしてください
□監督・脚本:トッド・へインズ
□脚本:オーレン・ムヴァーマン
□製作:クリスティーン・ヴァション、ジェームズ・D・スターン、ジョン・スロス、ジョン・ゴールドウィン
□音楽スーパーヴァイザー:ランダル・ポスター、ジム・ダンバー
□撮影監督:エドワード・ラックマン
□編集:ジェイ・ラビノウィッツ
□美術:ジュディ・ベッカー
□衣装デザイン:ジョン・ダン
□ヘアメイク:ピーター・ソード・キング、リック・フィンドレーター
□音楽:レスリー・シャッツ、パトリック・ルソー
キャスト
◆クリスチャン・ベイル(ジャック/ジョン牧師)フォーク時代のディランと聖書の世界に没頭していた頃のディラン
◆ベン・ウィショー(アルチュール)ディランに詩の面で大きな影響を与えたフランスの象徴派詩人
◆マーカス・カール・フランクリン(ウディ・ガスリー)デビュー前のディランに影響を与えたフォーク・シンガー
◆ケイト・ブランシェット(ジュード)60年代中盤にフォークからロックへと転身を図った頃のディラン
◆ヒース・レジャー(ロビー)ディランの歌詞のモデルになった女性
◆リチャード・ギア(ビリー)'66年のバイク事故を境に隠遁生活を送っていた頃のディラン
◆ジュリアン・ムーア(アリス・ファビアン)女性シンガー・ソングライターでジョーン・バエズがモデル
◆シャルロット・ゲンズブール(クレア)抽象画家を目指すフランス人の美大生
◆ミシェル・ウィリアムズ(ココ・リヴィングトン)NYの人気モデル
◆デヴィッド・クロス(アレン・ギンズバーグ)
【この映画について】
1962年のデビュー以来多くのミュージシャン達に影響を与え66歳にして現役であるボブ・ディランを豪華6人が演じる。
劇中でディランを演じるのは本年度のアカデミー賞で「エリザベス:ゴールデン・エイジ」で主演女優賞にノミネートされ、本作での演技では助演女優賞にノミネートされたケイト・ブランシェット。女優が演じるディランを観客はどう評価するのだろうか?ディラン・ファンには複雑な思いがあるかも知れない。
他には「バットマン・ビギンズ」のクリスチャン・ベイル、1月にNYで急死した若手俳優ヒース・レジャー、「パフューム」での演技が印象的なベン・ウィショー、「シカゴ」での見事な演技が印象に残っているリチャード・ギア。
更に、共演の女優陣もジュリアン・ムーア、舌足らずの英語がおかしいシャルロット・ゲンズブール、ミシェル・ウィリアムズとどの出演者も主役クラスで豪華だ。
【ストーリー】(一部ネタばれあり)
1959年、ギターを抱えたウディと名乗る黒人少年が貨物列車に飛び乗り、病床の本物のウディに会いに行く。或る日、白人夫婦の家に招かれ親しくされるが...ウディは鑑別所からの脱走者であることが分かり親切にしてくれた白人夫婦とも別れる。
社会派フォーク歌手として人気が出たジャックだが、シーンから消えた20年後、牧師としてキリスト教の布教にいそしんでいた。音楽シーンからは離れて牧師として、信者の前で歌うことはあるが生活の中心は聖書である。
伝記映画の主役を演じ成功したロビーは、9年に及ぶ結婚生活に終止符を打とうとしている。音楽性をフォークからロックへ転向したジュードは、スターとしての生活を送る中、ドラッグに蝕まれていた…。
ビリーは開拓時代の西部の町リドルの人里はなれた一軒の小屋で犬のヘンリーと共に隠遁生活を送っていた。或る日、久し振りに町に出たビリーは、町がハイウェイ建設の為に爆破され住民達に立退き命令が出ている事を知る。そしてその黒幕が宿敵でも有るギャレット長官だと知り、彼の悪行を暴こうと立ち上がるが...。脱走した彼はギターを抱え貨物列車に飛び乗る。
【鑑賞後の感想】(一部ネタばれあり)
ボブ・ディランという歌手は日本では信者的なリスナーはいるが、同時代に影響を一時期与えたザ・ビートルズ(影響されたのはジョン・レノンだけだけど)に比べると知名度は劣るのは事実。
管理人はディランの音楽(トラベリング・ウィルベリーズとしては知っていますが!)は全く知らないが、この映画を観ることで少しでも彼の人間性とか音楽について身近に感じることが出来ればと期待してみた。
ディランを扱う映画が今まで出来なかったのは、ディランからの「OK」が出なかったからだそうだ。ところがこの映画はトッド・へインズ監督の熱意もありディラン・サイドからのOKを取り付けたことで、「ディラン公認」の伝記映画との見方が出来る。
しかし、ディランの音楽性とか背景を理解していない映画ファンが、その豪華なキャストに目が眩み鑑賞したとしたら退屈なシーンも多かったのではないだろうか?
ディランを6人の俳優・女優たちが其々別々のキャラクターに扮するというアイデアは悪くないが、どちらかと言えば初心者よりマニア向けの企画のような気がする。
この映画ではケイト・ブランシェットがディランに扮するのだが、有名女優が扮するとは驚いたがこの演技がアカデミー賞助演女優賞候補に上がったのだから彼女のキャリアの中で演技の幅が広がったことは間違いない。
それと1月に急死した(自殺とほぼ断定された)オーストラリア出身(ケイト・ブランシェットもそうだ)のヒース・レジャーも出演している。彼の作品はこれと今後公開される「バット・マン」シリーズでの出演が予定されている。
なお、劇中で使用されている38曲中、ディラン自身の歌声は21曲で他のアーティストによるのが17曲。タイトルの「I'm Not There」はファンの間では「有名な未発表曲」だそうで今回初登場となった曲とのことだ。
ウ~ン...やはりマニア向けの企画なのだろうか?
【鑑賞後の感想】(一部ネタばれあり)
68点。俳優達の違った側面を感じるなら得点はもう少し高い。ディランを理解出来たか?という点で観たのでこの点数です。
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