2008/12/31(水)11:10
AORの源流~デイヴ・メイスンの「スプリット・ココナッツ」
デイヴ・メイスン「スプリット・ココナッツ」
発売年:1975年
Produce:Dave Mason & Bruce Botnick
Dave Mason:Guitar,Lead Voacal
Jim Krueger:Guitar
Rick Jaeger:Drums
Gerald Johnson:Bass
Jay Winding:Keyboards
英国出身のデイヴ・メイスンはトラフィック時代にスティーヴ・ウィンウッドと短期間組んでいたがスワンプ・ミュージックに魅せられ渡米。
そのメイスンがニック・デカロが前年に「イタリアン・グラフィティ」を発表しAORの誕生を告げた翌1975年に発表したのがこの「スプリット・ココナッツ」(Split Coconut)である。
当然、まだAORが広く認知される前の時代でありデイヴ・メイスンがAORを意識して作ったアルバムとは思えない。
だがこのアルバムはスワンプ・ミュージックとは異なり、レイドバックしたトロピカルなムードがアルバムを通して伝わってくる。タイトルも「割れたヤシの実」でジャケットも南国を思わせる夏に聴きたいアルバムである。
私はLPで発売された時代にこのアルバムに接することが出来ずCD化を長い間待ち焦がれていた。そして英国のBGOレコードから「Dave Mason」と2IN1の形でリマスターを施されて再発売された。ヤフーオークションなどでは5000円を下らない価格が提示されているが、国内盤発売は多分無いだろうが輸入盤でも入手出来るのは有り難い。
収録曲9曲中デイヴ・メイスンのオリジナルが6曲、ギタリストのリック・クルーガーとの凶作が1曲、他人の曲が2曲の構成。他人の2曲の中の「Crying,Waiting & Hoping」はバディ・ホリー作のオールディーズ・ナンバーでザ・ビートルズがリバプール時代にジョージ・ハリスンがレパートリーにしていた。ここではマリンバとマンハッタン・トランスファーをバック・ヴォーカルに起用する大胆なアレンジが光る。
そのジョージ・ハリスンとデイヴ・メイスンはザ・ビートルズ時代の1969年頃から一時エリック・クラプトンらと共に活動していた時期があった。
他の収録曲もアルバムのテーマであるトロピカルなサウンドを貫いているが、要所でデイヴ・メイスンの乾いたギター・ソロが締めている。
演奏は基本的に彼のバンドが担当しているがゲスト陣は彼の人脈から起用している。デヴィッド・クロスビー、グレアム・ナッシュは4曲でバック・ヴォーカル、マンハッタン・トランスファーは上記の曲を含む2曲で参加するなどしている。
アルバム全体を通して聴き終えると心地良い感じに包まれる。AORの源流のようなサウンドであるが、勿論、ロックアルバムとしての魅力も一杯詰まっている、まさにそれこそがAORであるとも言える。
店頭で簡単に入手出来ないのが残念だが私はHMVで入手しました。その後、訪れたときは店頭から消えてしまいました。AMAZONでこの2IN1を購入出来るようなので是非!
曲目リスト
1. Split Coconut
2. Crying, Waiting, Hoping
3. You Can Lose It
4. She's a Friend
5. Save Your Love
6. Give Me a Reason Why
7. Two Guitar Lovers
8. Sweet Music
9. Long Lost Friend
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