KINTYRE’S DIARY~旧館

2011/05/20(金)15:26

映画『シェルブールの雨傘 デジタルリマスター版』を観て

ヨーロッパ映画(125)

9-13.シェルブールの雨傘 デジタルリマスター版 ■原題:Les Parapluies de Cherbourg ■製作年・国:1964年、フランス・ドイツ ■上映時間:91分 ■鑑賞日:2月11日、シネセゾン渋谷(渋谷) スタッフ・キャスト(役名)□監督・脚本・作詞:ジャック・ドゥミ □美術:ベルナール・エバン □撮影:ジャン・ラビエ □衣装:ジャクリーヌ・モロー □音楽・作曲:ミシェル・ルグラン ◆カトリーヌ・ドヌーブ(ジュヌビエーヌ) ◆ニーノ・カステルヌオーヴォ(修理工の青年ギイ) ◆マルク・ミシェル(宝石商ロラン・カサール) ◆アンヌ・ヴェルノン(ジュヌビエーヌの母) ◆エレン・ファルナー(ギイの幼馴染マドレーヌ) ◆ミレイユ・ベレー(ギイの伯母エリーズ) ◆クリスチャンヌ・ルグラン(エムリー夫人) 【この映画について】 製作当時の政治的背景を物語に織り込みつつ市井の人々の現実の生活を描きながら、台詞は全て歌にしてしまう形式を採用する斬新さ。 監督のジャック・ドゥミと音楽のミシェル・ルグランは、この日常と非日常が共存する前代未聞のスタイルでの映画化に出資する製作者を探したが断られ続け、最終的にマグ・ボダール女史が引き受けるまで一年もの歳月が流れた。 主役にはカトリーヌ・ドヌーヴと、ドゥミは1960年作品『L' Homme a Femmes』でまだ無名時代の彼女を見出してから心に決めたという。内容の哀しさにも関わらず画面までは暗くせず、登場人物の衣装や原色を大胆に使った部屋のセットは見逃せない点。そして天才ルグランのスコアは、当時のポピュラー音楽の枠組みを駆使して創り上げた歌曲の数々は、衣装や美術同様、本作に色彩感をも付加している。 (この項、gooより転載しました) 【ストーリー&感想】 フランス北西部の港町シェルブールで、ささやかだけれど美しい恋を育む自動車修理工の若者ギイと傘屋の少女ジュヌヴィエーヴ。母親にお小言をもらいながらもジュヌヴィエーヴはギイと出会う時間が嬉しい。 しかしアルジェリア戦争の影はそんな二人に覆い被さろうとしていた。ギイに届いた徴集礼状、アルジェリア行きが決まります。ジュヌビエーブは、「行かないで」と愛するギーと分かれ辛く引きとめますが、そんなことが出来るわけもありません。二人はお互いの愛を誓い合い、その夜結ばれるのです。そして彼女はギイとの愛の結晶を宿していることに気付いてしまう。 戦地へ着任当初は頻繁に手紙を送っていたギイ、だが手紙も途絶えがちになり、ギイを忘れさせる為、ギイの手紙を隠し、代わりに別の手紙を送っていたエムリー夫人。ジュヌビエーブが妊娠しているとわかると、これを機にカサールと結婚させようと一気に話を進めます。 そんな折、ギイの出兵前から店の窮地を助けてきた宝石商のカサールがジュヌヴィエーヴの妊娠も意に介せず求婚してくる。次第に薄れて行くギイの存在に戸惑いつつ、カサールの誠意に打たれた彼女は申し出を承諾してしまう。そして2年の歳月が過ぎ、負傷してシェルブールに戻ったギイを待っていたのは、ジュヌヴィエーヴ結婚の事実だった…。 その事実を幼馴染のマドレーヌから知らされショックを受けたギイだったが、前からギイのことを好きだったマドレーヌとの仲を進展させやがて結婚することになり一児をもうけた。 そして、X'masが近付く寒い12月の夜、女性が運転する一台の車がギイが経営するガソリンスタンドに給油に立ち寄った。 この後は、上記映像の名シーンへと繋がりエンディングへと向かいます。その僅かな時間でジュヌヴィエーヴはギイとの一粒種「フランソワ」を紹介されますが、彼がその少女に声をかけることはなく、給油を終えて去った直後に妻と子供が戻って来て終わります。 このラストシーン、やはりグッと来ますね。愛し合っていたカップルが子供にまで恵まれながらも、結ばれること無く別々の家庭を持っているという事実。ギイの幸せそうな表情からは家族との関係が上手くいっていることが示唆されているので、ハッピーエンディングでしょうね。 この映画は、ミシェル・ルグランの音楽に乗せて歌詞が台詞を兼ねるミュージカル映画である。歌詞が台詞を兼ねる映画は他にも多いが、この映画はフランス的な色彩感覚も映像にふんだんに盛り込まれていて、時代を感じさせる出来ながら今観てもやはり名画である点は疑いの余地がありません。 主演のカトリーヌ・ドヌーブ、最近の彼女の出演作も観ていますが、40年以上前の作品ですから、その若さと気品のある美しさはうっとりします。

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