なんともやるせない相続の相談がありました
ご相談者が帰ったあと人生はいろいろあるなあ、と少し気落ちしながらたばこをくゆらす事例を経験しました。【相談】 私の叔父が亡くなりました。娘が1人いますが、自分勝手な子でずっと所在不明です。叔父は脳梗塞に倒れ、以来闘病生活20数年だったのですが、この娘はその間、父親のことなど見向きもせずどこかに行方をくらましていました。私は近くにいるので折に触れて面倒をみてきましたが、その間2度こっそり現れたと思うと家から有り金、家財を持ち出して行ってしまうなど始末です。 葬儀の翌日、どこから聞いたのかひょっこり娘が亭主風の男(言動風体からにヒモ)を連れてやってきました。そして家、土地の権利証を2人で家捜しして見つけ出し、遺骨はやるから適当に始末して、と言い残し去っていきました。親族であとを追いかけましたが逃げられました。 このようにとことん親不孝者に相続権を失わせる手段はないのでしょうか。【回答】 お腹立ちとは思いますが、この娘さんには相続権があります。叔父様が生前に相続人排除を裁判所に申立てていたり、娘に相続欠格事由があるとした立証もできず、また相続させないという遺言もない場合は、娘の相続権はなくなりません。 現場が目に見えるようです。たぶんこの後、娘は土地、建物を売買し遺産を現金化し亭主(かどうかわからない)と遊侠に暮らすのでしょう。親族とはいえ相続権のない者はそれに対し何も言えないのです。このご相談者もどれだけ心を痛めたかしれませんが、どうしようもないことです。 私も一昨年に親を亡くしました。時代はどう変わっても自分を産んでくれた親に対するいつくしみを失った人間は哀れだと思います。周囲はそれをしっかりと見ていますし、いつか自分に必ずその報いは帰ってくるはずです。私は「親孝行」という言葉を時代遅れと考える人には「因果応報」という言葉が必ずつきまとうことを申し上げたい。 少し血圧が上がったかもしれませんな。でもこれも人生か。