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マックの文弊録

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2005.05.29
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カテゴリ:小言こうべえ
◇ 日曜日;旧暦四月二十二日 癸丑(みずのと うし)

「靖国は天皇の神社である」とは、同年代ながら学生時代は敢然右翼を標榜されていたわが畏友のお言葉である。

靖国神社は明治になって創建されたお社だ。その趣旨は「国に殉じて戦いに赴き斃れた英霊を合祀し、その御霊(みたま)を安んじる。」というところにある。

しかし、幕末から明治維新にかけて、所謂官軍の戦死者は祀られているものの、戊辰戦争での会津藩の戦死者や、白虎隊などは対象外である。つまり、ここでいう「国」は時の天皇に代表される国家権力であり、それによって形を成した国体であると考えるのが適当なようだ。

先の大戦では無慮何百万もの戦没者が出た。彼らも又靖国神社に合祀された英霊である。それが大平内閣の時になって、A級戦犯も合祀対象になった。これで様子が変わった。

A級戦犯は、当時国民に赤紙を出した側である。それまでは、赤紙を受取って否応なく戦地に駆り出された人たちが「英霊」の主役であった。つまり「労」と「使」である。大平内閣は、「労使双方」をえいやっとまとめて靖国神社に入れてしまったのだ。これでは九段の神域でも、祀られた同士、お互い気まずい思いをなさっているのだろうと思える。

「A級戦犯」というのが、戦勝国の勝手な理屈で敗戦国を断罪した、甚だ問題の残る裁判での呼称であったことを斟酌するとしても、彼らこそが当時の日本の経営者であった事には変わりはない。つまりは死亡宣告をした側と、宣告を受けた側とが同じマンションで暮らしているようなものなのだ。これは変だ。

しかし、「靖国が天皇の神社だ」と言う観点から見れば、なんの矛盾もなく腹に落ちる。赤紙を受取った側はもちろん、出した側だって醜の御盾(しこのみたて→古い!)として天皇に殉じたことは形式上変りはないのだから。

わが宰相は、「戦没者を慰霊するのは、その国の問題だ。他国の云々すべきことじゃない。」とおっしゃる。それは全くその通り。身内の弔いや法事について、隣村の連中にとやかく言われる筋合いはない。これは確かだ。

宰相はまた、「罪を憎んで人を憎まずとは、そもそも中国の孔子の言葉ではないか。」ともおっしゃる。それはその通りだが、この理屈は今の場合通らない。論理的にもおかしい。一般受けするだけの巧妙な誤魔化しだといえる。

上に書いた事の文脈をたどれば、この「罪」とは国権によるものであって、個人によるものではない。又彼が「罪」といった以上、これは当時のわが国の国権による所業を「罪」と認めたことになる。

そうであれば、(1)まずは国権の現在の継承者として、当時の「罪」を明示的に示し、謝るべきは謝り、正すべきは正す。次に、(2)「A級戦犯」諸兄の具体的な「罪への関与」或いは「不関与」を明確に示し、これに対しても現政権の長としての態度を内外に明確にすべきである。そして最後に(3)靖国に「労使」双方を合祀することに対しての理由付けをはっきりさせ、自らが参詣することの立場と理由を明瞭に公にする。

そうしておけば、紋付袴でいらしゃろうが、ジャージーにスニーカーを着用に及ばれようが、好きなときに好きなようにお参りなさればよろしい。

あの方は、この件に限らずどうもレトリックの混乱が多い。或いはそれは混乱ではなく、何か背後に深い意図を隠しての行動だとも勘ぐれなくもない。

民草はこういうレトリック上の誤魔化しには弱いものだ。おまけに現在のわが国のマスコミは、これを整然と指摘して健全な批判の論陣を張る力量も見識もない。
日本が世界の中で笑いものになったり、いいように手玉に取られたりするようなことにならないよう、頼むからちゃんとして欲しい。


…ところで、ずいぶんブログをサボったお詫びに、我が家の玄関先に咲いたユウゲショウの花の写真を一枚。
和名は夕化粧。元々は海外から日本に移住していらしたお花のようだ。この花、朝から日中にかけては可憐な四枚の花弁を精一杯広げる。ところが、午後になって夕方近くになると花弁を、口をすぼめるように閉じてしまう。その様子が、ひっそりとお化粧を直しているように見えるのだろう。
そういう奥ゆかしさは、衆人環視の電車の中で堂々と化粧を直して憚らない現代の大和撫子より余程可憐で美しい。





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最終更新日  2005.05.29 23:38:10
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