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カテゴリ:国際交流
こんにちは、国際課国際交流係です! 北海道がアメリカのマサチューセッツ州と姉妹提携を結んで30周年を迎えた2020年から、マサチューセッツ州に関する様々な情報を発信してきました。 今回ご紹介するのは、マサチューセッツ・北海道協会の“森田 喜代子”さんです。 マサチューセッツ・北海道協会は、1987年3月に北海道との姉妹提携に向け、マサチューセッツ州側の民間交流促進団体として発足した「マサチューセッツ・北海道姉妹提携委員会」を前身に、1990年2月7日に北海道とマサチューセッツ州が姉妹提携議定書に調印したことを受け、マサチューセッツ・北海道協会に名称を変更し、活動を開始しました。
マサチューセッツに残ろうと決めたマサチューセッツ工科大学のドームを背景に ここから見えるチャールズ川のゆったりした流れの向こうのボストンの街がお気に入り 〈自己紹介をお願いします。〉 私は、生まれは群馬県ですが、5歳の時に父の故郷に移住し、東五条小学校、常和中学校、旭川東高等学校と、青春のほとんどを旭川で過ごしたので、いつも旭川出身と言っています。 1985年からマサチューセッツ州に移り住み、現在はマサチューセッツ・北海道協会会長やアメリカで最も歴史の長いボストン日本協会の理事も務めています。 〈マサチューセッツに来たきっかけを教えてください。〉 札幌の短大を卒業後、米国カリフォルニア州で、(当時1ドル360円の時代だったので)住み込みでお手伝いをしながら大学に通う英語三昧の4年半を過ごしました。1973年に日本に戻り、大阪で英語を教え、翌年には同志社大学の留学生センターで日本語を教え始めました。その後、アメリカに戻り、インディアナ州の大学院で修士・博士課程を修了し、メイン州のコルビー大学で一年間日本語を教えました。 そして、1985年、ハーバード大学の日本語講師として招聘されたことからマサチューセッツでの生活が始まりました。 〈マサチューセッツではどのような生活を送ってきましたか。〉 ハーバード大学での日本語講師生活をスタートしてから、ウェルズリー大学、タフツ大学で日本語を教え、2016年6月にタフツ大学の日本語の名誉講師として退職しましたが、タフツ大学での23年間の在職中には、日本語教育の推進のための修士課程:教師養成コースも立ち上げました。 他にも、大学近辺の外国語クラスがない小学校へ自分の学生を連れて日本語や日本文化を紹介するコースを開設したり、バーモント州の大学のサマースクールや近郊の大学での日本語クラスの代講、趣味で始めた日本の伝統芸能の一つである香道の紹介も頼まれて講義やデモンストレーションも行ってきました。 40年以上に渡る日本語講師としての生活を終えてからは、姉妹交流などを支えるために忙しくしています。1986年には、北海道滝川市とスプリングフィールド市の姉妹都市提携をサポートしたり、2015年の北海道・マサチューセッツ州姉妹提携25周年記念事業の企画、日本の高校生や大学生の留学や研修もお手伝いしています。 1992年には、日本の伝統文化の一つである香道を紹介するボストン・インセンス・スタディーグループを立ち上げました(香道は京都で習い始めました)。ボストン日本協会(アメリカで一番古い)の理事としても、姉妹交流の促進や日本文化の紹介に力を入れています。
〈日本と海外の生活で差を感じることはありますか。〉 私は、アメリカが好きで、アメリカに留学して、アメリカで仕事をして、アメリカの市民権も取得しています。もともと英語が得意だったので、英語でのコミュニケーションに難しさを感じたことはありませんでした。今でもアメリカが好きです。 お世話になったホームステイの家族と大学時代を過ごしたカリフォルニア州は懐かしいですが、特に北海道に大きな影響を与えたマサチューセッツ州に住んでいることに幸せを感じています。 「差」とは言えないかもしれませんが、日本語を教える機会を与えられた時に英語の勉強に集中し過ぎて、日本についての勉強不足を実感しました。それから日本の歴史、文学、伝統芸能など、何にでも興味を持って習い始め、日米両方の文化や言語を学び、今ではバイカルチャー&バイリンガル、日本とアメリカのハイブリッド人間と言えるかもしれないです(笑) ボストン・パブリック・ガーデン、四季折々の花が素敵です 〈マサチューセッツの好きなところ、お気に入りスポットを教えてください。〉 マサチューセッツは広いですし、好きなところが多すぎて、ここっ!と言うところを選ぶのは難しいですが、まず私がマサチューセッツに残ろうと決めた所を紹介します。それは、マサチューセッツ工科大学(MIT)のドームを背にしてチャールズ川のゆったりした流れの向こうのボストンの街が見えるところです。MITを訪ねる人達はドームを背にして写真を撮ることが多いのですが、その時に目前に見える風景が大好きです。メモリアルドライブがあって、チャールズ川があって、その向こうにあるボストン市、京都市と姉妹都市提携を結んで、2019年には還暦(60周年)を祝いました。 北海道が姉妹提携を結んだマサチューセッツ州の州庁舎はこんもり高いところにあります。ボストンは大都市ではありますが、ニューヨークのように圧倒されるような超高層ビルが立ち並ぶ街ではなく(年々高い建物が増えていて、州庁舎の金色のドームがケンブリッジ市の方からは見えにくくなってきましたが・・・)、ワシントンDCのように政府の機関が立ち並ぶ街でもありません。 移民の町であるとあるボストン市長が言ったことがありますが、色々な人がそれぞれに考えを持って、様々に生活しています。みんなが自由に、しかしながら、お互いに同じところも違うところも尊重しあって、共存していることが嬉しいです。そして、マサチューセッツの人々は、北海道の人々のように大らかで優しいです。 私のお気に入りスポットは、ボストン・パブリック・ガーデンです。州庁舎を背にしてビーコンヒルを右の方に降りると見えてくる公園で、池には足踏みで動くスワンボートが浮かび、公園の中心をぐるっと回って見ることができます。四季折々の花が沢山咲くので、お弁当を持って、散歩しながらお花を愛でるのも楽しいです。 この公園には、アヒルの親子の像があります。“Make Way for Ducklings”という物語にも登場しますが、アヒルの親もボストンが子どもたちを育てるには良い所だと言って住み着いたと言われています。
![]() “Make Way for Ducklings”にも出てくるアヒルの親子の像 写真からも穏やかな雰囲気が伝わります 〈留学や研究で海外を目指す北海道の学生へのメッセージをお願いします。〉 数年前まで、コロナが収束せず、希望が持てない時間が続いていましたが、アメリカはまだまだ自由な国だと思いました。国際情勢はめまぐるしく変わり、良いこと尽くしではありませんが、留学や研究を目指す学生さんたちには、ぜひ豊かなマサチューセッツを第一候補に考えていただき、いらっしゃる機会が得られることを祈っています。 ここ数年の間に、北海道の高校生達が短期英語研修のプログラムで来ていますが、さすが北海道の学生さん達はしっかりしていて、寒〜い冬休みの間にも関わらず、勉強しに来ている姿には感心しました。 まだ円安が続いていますが、貯金しておいてください。そして、一度はいらしてみることをお勧めします。英語は難しいとは言わず、勉強してほしいです。ただし、きちんと正しい丁寧な英語を身につけること。そうすれば、誰にも指を刺されることはないと思います。人に優しくしていたら、自然に自分にも優しい手が差し伸べられるものだと信じている、アメリカに来る道も。
〈最後に北海道への想いなどがあれば、お願いします!〉 もし、若い方がこれを読むとしたら、私にも刺激を与えてくれた言葉ですが、“Boys (and Girls) Be Ambitious”という言葉を思い出してください。北海道の発展のためにマサチューセッツから招へいされたクラーク博士の言葉です。北海道を飛び出すことがAmbitiousであるとは思いませんが、暖かい故郷を離れて何か自分の中にモゾモゾとしている出しきれない自分の能力や力を見つけることも良いことだと思います。私も周りの皆さんのお力をたくさんお借りし続けましたが、自分のやりたかったことを探しに行くのも良いことだと思います。 子どもの頃は広々とした自然に恵まれた北海道で、貧しい生活ではありましたが、大地の空気を十分以上に吸って大らかに育てられたからこそ、今も元気に、北海道をこよなく愛する自分があるのだと思っています。そして、私を励ましてくれた家族や先生や友人や多くの方々に少しでもお返しができているか反省しながら生きています。けれども、それは遠くアメリカに来て、アメリカに帰化して、後期高齢者と言われる年になって、つくづく想う故郷北海道なのかもしれません。 森田会長、ありがとうございました!
2020年7月に本通信を開始してから、延べ30名もの方々にお話を伺いました。ご協力頂きました皆様、この場をお借りしてお礼申し上げます。 マサチューセッツ州との交流は北海道開拓初期に始まりました。そして、1990年に姉妹提携を締結してからも様々な分野で交流を積み重ねてきました。 2025年は姉妹提携締結35周年という節目を迎えます。これまでの35年を祝うとともに、次の35年、そしてさらにその先までこの友好関係を継続し、北海道とマサチューセッツ州が明るい未来を築いていけることを願っています。 マサチューセッツ通信のバックナンバーはこちらからご覧ください!! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2025.03.28 13:21:35
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