宮城県職員のブログ

2010/07/14(水)08:34

宮城県の山<11/56>「船形山」

山登り(56)

※宮城県の山をご紹介するブログです。 今回ご紹介する山は「船形山(ふながたやま)」(色麻町・しかまちょう)です。 船形山はちょうど七ツ森の奥にあるので大和町(たいわちょう)に位置するのかと思うところですが,よく地図をみると山頂は色麻町に位置しています。登山ルートとしては,色麻町大滝キャンプ場からの色麻コース,北隣り加美町(かみまち)からの小野田コース,南隣り仙台市泉区の北泉ヶ岳・三峰山(みつみねさん)からの縦走コースがありますが,今回ご紹介するコースは大和町旗坂(はたざか)キャンプ場からの升沢(ますざわ)コースです。縦走コースよりは時間的に短いものの,それでも8時間余りの行程ですので,7月から9月にかけての日の長い間が登山適期となります。 登山口の旗坂キャンプ場までは舗装道路になっており,車が入りやすい状態になっていますが,途中,車道が狭くなっているところもありますのでご注意ください。 キャンプ場駐車場から2~3分林道を進んだところが登山口で,30番の標識がスタートになり,頂上が1番ということになります。整備された登山道になっており,歩きやすい傾斜を登り出します。最初の案内板は旗坂平で,心地よいブナ林の空間になります。ここから一群平(ひとむれだいら),鳴清水(なるしみず)と,時間的には長い歩きとなりますが,ブナ林の中の緩い登りとなっていて,体力的には楽です。途中,奇抜な人間の姿を連想させるブナにも出会え,だんだんとちっぽけな人間が決して太刀打ちできない自然のブナの森へ,奥深く足を踏み入れている感覚が感じとれてきます。あとは,ブナの木霊(こだま)が息づく懐の中に身を預けるしかありません。 2時間半余り歩くと,三光ノ宮(さんこうのみや)に到着し,ここでは西にこれから向かう船形山山頂や,南東の泉ヶ岳が望めます。その先,途中,大滝キャンプ場からの分岐,蛇ヶ岳分岐を経て,升沢小屋へ至ります。升沢小屋は最近改築したばかりで,室内はまだ木の香りがプンプンと漂っています。 小屋の少し先に沢があり,ここから沢沿いにしばらく登ることになります。雨上がりの増水時と一部不鮮明な道に注意が必要です。標高が高くなったと感じるころ視界が開け,蛇ヶ岳(じゃがたけ)方面からの分岐に差し掛かる,千畳敷に到着します。 ここからは目の前に山頂の広大な空間と,その奥に山頂山小屋がはっきりと見えてきます。さらに高所からの景色を眺めながら尾根を登ると艫ノ峰(とものみね)に至り,山形側の黒伏山(くろぶしやま),宮城側の後白髪山(うしろしらひげやま)など東北の背骨の山並みが雄々しく目に入ってきます。道端の灌木も厳しい冬を物語ってか他山と比べかなり低く,その中でウスユキソウがまさにエーデルワイスに見えてきます。 山頂は,りっぱな標柱と祠のまわりが広い空間となっており,登りが2時間余りの色麻コースからの登山者と合流し,ちょっとした小銀座になります。新しい山頂小屋でトイレ休憩をとりながら,ガレキを椅子代わりに360度のパノラマを満喫してください。 帰路は登りのコースを戻り返し,艫ノ峰から泉ヶ岳,北泉ヶ岳,三峰山,後白髪山の眺望を思い出として頭に焼き付けてください。登ってきた升沢コースとの分岐に至ったら,蛇ヶ岳方面に進路をとります。途中,後ろを振り返ると先ほど過ぎたばかりの艫ノ峰を仰ぎ見ることになり,紅葉の時期のロケーションは最高の被写体になります。下山口まで長い下りとなりますが,蛇ヶ岳山頂への登り返しはなく,足の動きに身を任せるだけです。蛇ヶ岳山頂は登山道に標柱があるのみで視界はありません。 少し先で,北泉ヶ岳方面の縦走コースと分かれ,下りながら北へ向かいます。すると突然,池塘が現れ,青空とのコントラストにびっくり感動します。 さらに足を進めると西の山から東の谷に向けて開けた爽快な蛇ヶ岳草原に至り,その中腹を斜めに心地よく下って行くことになります。前方には青空の中に薬莱山(やくらいさん)が見え,あたかも天空を浮遊している感じに思えてくる心地です。草原を過ぎ,少しだけ雑木林を下ると,登りでたどった升沢コースに合流します。あとは,番号のついた標識を確認しながら,三光ノ宮,鳴清水,一群平を経て30番の下山(登山)口に戻ります。 長い1日になります。しかし満足度は最高級です。ぜひ晴れた日に登ってください。 標高:船形山1500m 蛇ヶ岳1400m 行程:約8時間30分(休憩時間を除く。) 参考文献:「新・分県登山ガイド3宮城県の山」(山と渓谷社) 労働委員会 T.M

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