Dec 30, 2010

週末連載 ビタミンやまなし ワイン物語 第9話の2

カテゴリ:7.ビタミン物語
1992年『彩果農場』 大村春夫 【丸藤葡萄酒工業(株)】

第9話の2

 醸造家としての大村さんと、経営者としての大村さんの葛藤が生まれる。そしてついに98年5月、主力製品である1500円の定番赤ワインにバルクの使用を決める。従業員の生活を預かる身として、大村さんは定番商品の欠品を防がなければならなかった。

「辛かったですね。でも、もとをただせば、ぶどうが大切だと言いながら、ぶどうの確保に手を抜いていた私の責任なんですけどね……」

 そう大村さんは語る。経営者として商品が売れるのは好ましいことであるはずだが、しかしこれはやはり大村さんにとって苦渋の決断だった。会社の屋台骨である定番商品は、もう在庫はありませんでは済まされなかったのだ。とは言え、創業百年目の決断に比べ、何と苦い後味が残った決断だったのだろう。

 そしてこの赤ワインブームという風が、せっかくいい方へ向かいつつあった勝沼のワイン産地を変えてしまうのではないかという懸念もある。「大村さん、良いぶどうやワインを造るにはお金がいるね。だったら今バルクで稼いでそれをワイン造りに投資すればいいじゃん」大村さんの挫折をこう言って慰める人もいる。

「そりゃぁそうだけど……凄く心配です。急激にブームになって、バルクワインがあまりにも普通に使われちゃって」

 バルクを使うと、手を汚さなくてもワインが出来る。それが続くと、汗を流してまでぶどうを作り、ワインを造るところに戻れるか?これを大村さんは心配しているのだ。

「今からぶどうを植えても5年はかかる」

 ある程度方向性が見えてきた自家農園のワイン専用ぶどう作りを、早急に本格的な実践に移す。このことがこれからの大村さんの課題となった。このように、商品が売れていく一方で、大村さんは丸藤のファン達からの視線を今まで以上に感じてきている。


 2000年、丸藤葡萄酒は国産ぶどう100%の蔵に戻った。






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最終更新日  Jan 4, 2011 10:48:33 AM