今日は，呉の民話シリーズ第2弾をお送りしたいと思います

今日のお題は「日招き伝説」です

呉では有名なお話で，ご存知な方も多いと思われます。

歴史上でも超のつく有名人，平清盛　に関するお話です

2年後のＮＨＫ大河ドラマは，「平清盛」 に決定し，

今もっとも注目の武将となっています

清盛 を語る上で，このお話は欠かせません。

それでは，本題へ...

昔，平清盛  という武将がおりました。

清盛 が安芸守として広島にいたころ，厳島（今の宮島）に

たいそう美しいと評判の 姫君 がおりました。

噂を聞きつけた清盛は，厳島に渡り彼女に求婚しました

「あなたの望みならば何でもかなえて見せよう」

すると姫はこう答えました。

「わたくしが，あっ！と驚くようなことをしてみせて下さい」 

清盛 は，日本中から大工を集めて素晴らしい御殿を建ててみせました。

しかし 姫君 はちっとも嬉しそうではありません

「なにが望みなんだ」

「では・・・一日で音戸の瀬戸を切り開いてみせてください」

清盛 は当時の最大の権力者でした。

 しかし，いかに強大な権力をもってしても一日で工事を完成させることは

不可能だと思われました。

しかし 清盛 は，日本中から職人を集結させ，

「一日で音戸の瀬戸を切り開け！」　と命じたのです

工事は順調に進みましたが，寸前のところで夕日が山の端にかかってしまいました

これでは姫に合わせる顔がありません。

清盛 は丘にのぼり，おもむろに扇をとりだしました。

「帰せ！戻せ！」

そう叫びながら，扇を煽ぎました

すると，不思議なことに...

夕日が 清盛 の煽ぐ扇に招かれるように昇り始め，ふたたび輝き始めたのです!!

（写真は音戸高烏台の清盛像）

こうして 清盛 はたった一日で，音戸の瀬戸を切り開くことが出来たのです。

終わり

これはあくまでも伝説で，実際は一日で瀬を開くことなど不可能です。

もしかしたら，当時の清盛には不可能をも可能にしてしまう程の力を持っていた，

ということを表そうとしているのかもしれません

（写真は音戸の瀬戸公園）

時代は平成，音戸の瀬戸も当時とは大きく変わっています。

真っ赤な音戸大橋がかかり、春には桜やツツジが鮮やかな色合いを見せる

音戸の瀬戸 は，今や一大景勝地となりました

独裁政治で恐れられたとされる猛将が、たった一人の女性のために・・・。

そう思いながら，音戸の瀬戸 の景色を眺めてみると，

よりいっそう美しく見えてくるかもしれませんね

「日招き伝説」 が伝わる 音戸の瀬戸 も，大河ドラマの放映，

第二音戸大橋（仮称）の開通　と大きな変化を遂げようとしています。

音戸の瀬戸 までは，呉市内からも車で15分くらいです。

皆さんも一度訪れてみてはいかがですか