宮崎のうどんシリーズ(4)「おくのうどん」。
ウドンジョーヌあやです。久しぶりに行きました。「おくのうどん」(旧・吉長うどん)。元祖・やわやわ系うどんと言っても過言ではないでしょう。隣接する「三角茶屋 豊吉うどん」とは、麺も味も近いものがあるため、誠に勝手ながら、何やらワイドショー的な妄想が喚起されます。なにせ「三角茶屋」創業者のお名前が奥野豊吉さんですから…ね。まあ、実情を知らないのでこんな話題から書きだしてみましたが、私、地雷踏んでないですよね? *事情をお知りの方は、FB経由で(笑) ところで。この「おくのうどん」の「天玉かうどん」には、ちょっとした物語があります。私がまだ十分に幼かった頃、週末になると、よく父親に連れられて「三角茶屋」に行ってました。父にしてみれば、娘とプチデートぐらいの気分だったのでしょうか。当時は、三角形の敷地にトンガリ屋根のお店でした(たぶん)。実際に奥野豊吉さんにつくって貰ったかどうかは、全く記憶にないのですが、この店に来ると、うどん好きの父がいつもニコニコと嬉しそうにしていたのを覚えています。そんな私が、成長するにつれ、いつしか父と口を聞かなくなってしました(思春期ってヤツですね)。当然、週末のうどんデートにも行かなくなりました。中学~高校~大学に至る約10年間は、外でうどんを食べた記憶がほとんどありません。父=うどん、みたいなイメージでも持っていたのでしょう。私も意外に頑固なところがるので(笑)さて。それから随分と時間が過ぎ、私が社会人になったある日。若気の至りで、朝方まで飲み明かし、そのまま友人のアパートにみんなで転がり込んだことがありました。みんなで雑魚寝して、笑っていいとも増刊号が始まる頃、ようやく起きだしました。誰からともなくモソモソと起きだし、ハラ減ったよねーってことになり、すぐ近所にあった「吉長うどん」に行ったのでした。店に入った途端、なんだかとても懐かしい気がしました。この匂い、この雰囲気、なんだか心がほっと温かくなる気がする…。そして、この気持の源がわからないまま、無意識で注文したのが幼い頃によく食べていた「天玉かうどん」でした。温かい春の日差しが窓辺に降り注いでいました。友人らとバカ話をしながら席につき、うどんを一口、口に運んだ途端、強烈に懐かしい感情が呼び起こされてしまいました。私は知らないうちに、涙を流してました。土曜の朝、いきなりはらはらと泣きながらうどんをススる女。ちょっと怖いです。でも、自分の意志では涙を止めることができませんでした。あとになって自己分析してみるに、父に反発していた思いと、父を愛していた思いが、そのうどんの食感、味、香りなどの記憶を通じて、一気に感情の渦を巻き起こしたんだと思います。私、本当は、父と仲良くしたかったんだ。そして、父と一緒に「三角茶屋」に来たかったんだ。そう気付かされた瞬間だったのです。だから私にとっての「吉長うどん(現・おくのうどん)」は、今でも、20年前の「三角茶屋」そのものなのです。…というような思い出はまったくないです。ごめんなさーい。書いているうちに、そんなドラマがあってもおかしくないぐらいの優しい味わいだなあと思っだだけで。あはんそんなバーチャル父娘物語を喚起する「天玉かうどん」をあなたもぜひ。