テーマ:水系ペットのお話(2825)
カテゴリ:その他
ムギツクは体長12cm位になる、非常にスレンダーで落ち着いた美しさのあるコイ科の魚です。元々は西日本に分布していたのですが、近年その分布域を広げています。ただ、その一方で生息数は減少していると言う報告もありちょっと心配です。 画像を見ていただければお判りのように、我が国の淡水魚の中では観賞価値が高い魚であるといえるのではないでしょうか?写真は体長10cmに満たない若魚ですが、観賞と言う観点から言うとこの時期が一番美しいかも。完全に成熟するとボディのブラックラインがボケてくるので美しさは落ちてきます。 雑食性で、人工餌も良く食べるため飼育は簡単です。観賞価値の高さから、日本産淡水魚を扱うショップではタナゴの仲間と並んで人気があるほうでしょう。私も、ペンシルの仲間やアノストマスを連想させるスレンダーな体型が好みですが、この魚外見からは想像できない事に、結構クセモノです(笑)。 毎年、初夏の頃に岩の裏側や水草の根元などに産卵するのですが、これは表の顔!(笑)。彼らは身近なところにドンコ(ハゼの仲間)など産卵後卵を保護する習性のある魚がいるのを見つけると、裏の顔と言うか本性がむき出しになってきます。目的とするドンコが産卵して卵を守り始めたら作戦開始!なんとムギツクは集団でドンコの巣?を襲撃しその卵を貪り食っちゃいます。 ここまでなら、まぁ自然界では良く見られる弱肉強食ってやつですかぁ~!で済ませちゃうんですが、彼らはそんなに甘くありません。ムギツクは、せっかく守っていた卵が襲撃され茫然自失の?ドンコを尻目にさっさとドンコの卵があった場所に自分達の卵を産み付け始めます。そして、産卵が終わるとピュ~!と脱兎の如くその場から逃走するのです。ドンコの親達が理不尽なムギツクの襲撃による茫然自失状態から我に帰ると、なんだか以前より一回り大きくなったような気がする卵があるではありませんか! 悲しいかな、さかなの頭ではそれが自分達の卵じゃないことは判らないみたいです。ドンコの親たちは一生懸命、ムギツクの卵を孵化するまで守ってあげる事になると言うわけです。この他人に卵を任せちゃう託卵と言う行為は、鳥の世界ではカッコウあたりで有名ですが、魚ではかなり珍しい事例なんですよ。 こんな話聞いちゃうと、かなりの数の方がムギツク嫌いになるかも?でも、まぁ彼らも生きるために必死なんですし、彼らに託卵されるドンコだって魚食ですから、餌の中にはムギツクの幼魚だって当然リスト入りしてるはずですから、傷み分けって事でよろしいんじゃないでしょうか? ところで、ムギツクの近縁種にヤガタムギツク(Coreoleuciscus splendens)と言う魚がいます。こちらは我が国ではなくお隣の韓国固有の淡水魚なんです!そしてその韓国名は「シュリ」です。映画好きの方ならピン!と来たかもしれませんね~。数年前にヒットした韓国映画「シュリ」のタイトルはこの魚から来ています。でも、日本で公開されたときにタイトルが「シュリ」だから良かったものの、翻訳担当者が魚に詳しい人だったらあの映画のタイトルは「ヤガタムギツク」だったかも(笑)。うーん、個人的には「ヤガタムギツク」って言うタイトルの映画は見に行きたくないかも お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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