テーマ:ベタが大好き!(586)
カテゴリ:逸品堂通信
![]() それでも、逸品堂のメインの仕入れ際にしているプラカットのファームに電話をかけて「これから行くぞっ!」って行ったら、彼が「今日は今からベタコンテストに行くとこなんだけど、お前も一緒に行く?」って尋ねてきたので、今回の滞在時間の短さを考え少々躊躇しましたが、結局彼の車に同乗してコンテスト会場に向かう事にしました。 今回のコンテストはさほど大規模な物ではなく、彼らブリーダー仲間内でのこじんまりとした物でしたが、それだけにコンテスト会場には見知った顔ばかり(笑)。彼らも、会場での販売目的ではないので、彼らから仕入れる事は出来ませんでしたが、ひとまず一箇所で多くの旧知のブリーダーに顔見せ出来たので、まぁ良いとします。今回のようなこじんまりとしたコンテストでも、さすがにベタ大国タイだけの事はあり、見知らぬ顔ぶれも多数来場していますから、彼らの出品した魚をチェックしておいて、次回以降の仕入れの際に連絡を取れると言う利点もありますし。 タイのベタコンテストの場合、出品された魚の水槽のガラス面に作出ブリーダーが、連絡先の電話番号や名刺を貼り付けてある場合が多いのです。これは、ブリーダーが「俺の作った魚が気に入ったら電話してね!」っていう事ですので、その様なブリーダーは商談に応じる用意があると言う印な訳です。 今回、私的にとても目を引いた個体を数個体同じ電話番号の持ち主が出品していたので、会場の脇にある屋台のコーヒーショップでアイスコーヒー頼みながらひとまずその場でその電話番号に電話してみました。ああ、もちろんかなり怪しいタイ語でね(笑)。 「ああ、もしもし私は日本の業者なんだけど、あなたの作出したベタに興味があるんだけど」 「おおっ、それは嬉しいですね。是非もう少し詳しくお話させてください」 「うん、今コンテスト会場脇の道端でコーヒー飲みながら電話してんだけど、あなたは何処にいるんですか」 「エッ、僕もいま丁度コーヒー飲んで休憩してるところなんですけど。コンテスト会場で」 「もしかして、会場の外にあるドブ川のほとりのコーヒー屋台?」 ・・・って、何の事はない(笑)、私の横でコーヒー飲んでいる気の弱そうないかにも草食系の青年がそのブリーダーその人でした。彼はあまり英語が得意ではなので、ベースタイ語でところどころ英語って言う、どう考えても意思の疎通がうまく図れるとは思えない手段で会話は続けられました。彼の話す所によれば、彼は元々大手のブリーダーの下請けブリーダーをやっていたのが、この度一念発起して独立する事にしたそうです。最終的には自分の店を市場に開きたいらしいですが、いまは資金がないので、コンテスト会場でひとまず彼の魚を置いてくれるショップを捜しに来たようです。 往々にして、この手のブリーダは商談がやりにくいんですよね~。基本的に自分のベタに自信満々ですし、夢や希望で彼の頭の中は前途洋洋ですから、価格的に途方もない高値を言ってくるケースが多いんです。彼もその例に漏れず「てめぇっ!ふざけてんのかぁ~??」って言う信じられないほどの価格を提示してきたので、速攻で商談終了。確かに、魚は物凄いレベルなんですけどね~。 その後しばらくたってから、彼が私のところに近寄ってきて「僕の魚、ちゃんと売れましたよっ!」って嬉しそうに、そして自慢げに報告に来ました。でも、メス個体は絶対に売らなかったそうです。そりゃまぁ、メス個体を同業者に売っちゃったらお終いですから当然ですね。誰が購入したのかは判りませんが、あのレベルの個体なら自分の系統に血を導入したいと思って当然でしょう。 ところが、前途洋洋で自信満々だったはずの彼が、それからまたしばらくして私の所にやってきました・ 「え~と、メス売ってあげようか?」 「メスだけ?」 「うん、持ってきたオスは全部売っちゃったから」 「メスだけ買ってもしょうがないし、あの価格じゃ残念だけど仕入できないなぁ」 「いや、値段は×××でいいよ」 「えっ??」 彼が提示したメスの価格は、数時間前の1/20程度の激安価格です。何と彼は帰りの交通費を持たずにコンテスト会場に来た様で、せっかく販売したオスも代金は後払いと言われ帰るに帰れなくなってしまったようです。うーん、この辺の計画性の無さは見事としか言いようがありません。彼の窮状に付け込んで、激安でメスを入手する事も可能でしたが、それじゃあ、あんまりだしって事で、彼にタクシー代貸してあげる事に。 「ハイっ、これ貸してあげるから」 「えぇっ!どうして貸してくれるの?」 「君の魚の価値は十分理解してるつもりだから、そんな安い価格で足元見て仕入れようとは思わないよ。だけど、君の最初の提示価格じゃ商売にならないしね」 「うーん、それじゃありがたくタクシー代貸してもらうけど、その代わりにこのメス個体全部あなたにあげるよ」 「ハイッ??」 この辺りのおおらかさと言うか、商売っ気の無さがタイ人の欠点でもあり、最高の長所でもあるんですね~。それと、結構プライドの高い民族でもあるので、ただでタクシー代貸してもらうっていう事に凄く抵抗があるんだと思います。よくバンコクの道端に座り込んだお年寄りとかが、下手な楽器演奏したりしてますが、これは彼らの「あくまでも演奏の報酬をくださいって言ってるんであって、物乞いじゃないよっ!」って言う意思表示なんですよね。我々旅行者は、ついついタイやその他の東南アジア旅行すると御大尽気分になってしまいますけど、彼らのプライドをちゃんと考慮してあげないとダメだと思います。 まぁ、私が彼らのプライドを十分に理解している訳じゃなく、「そんな安い値段で彼のベタを買う訳にはいかない」って言う事で、彼の自尊心を満足させれば、今後彼は「手乗り状態」って言う、実にいやらしい深ヨミなんですけどね。今回はメスだけ入手してもあまり嬉しくはありませんが、今後に向けて有望なブリーダー1人ゲット!と考えれば、十分な収穫ありと言えるのではないでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011/03/06 02:34:17 PM
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