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私の気にいったことば

私の気にいったことば

サリーのおつかい14

サリーのおつかい14

 「ええ、それはじゅうぶんわかっているわ。

あなたたちがいるからひるまこんなにあた

たかいんですもの。かきだってあんなにあか

くうれごろになるのはぜんぶあなたたちのお

かげですもの」

 サリーはそういうと、さんまいもっていた

きんかのうちのをいちまいきんぎょにわたし

ました。

 「だから、もうすこしじかんをのばしてち

ょうだいな。わたしは5じまでにしなくちゃ

いけないことがたくさんあるんだから」

 サリーはおこったかおをしていいました。

 「そんなこといったってこれが、ぼくらの

しごとなんです。ぼくらがいてはいつまでた

ってもおそらはくらくならないでしょう」

 あたまにまっかなチューリップをさかせた

とてもかがやいているきんぎょがそうこたえ

ました。

 そして、サリーがなにかいうかいわないう

ちに「そうだ、そうだ」ときんぎょたちはし

ずかなこえでうたいはじめると、だいがっし

ょうになりました。

 あるものは大声でサリーをひなんしま

した。

 あるものはサリーがわたしたきんかをこな

ごなにくだいてそらへとばらまきました。

 そして、サリーはそれにまけないくらいお

おきなこえできんぎょたちをどなっていまし

た。

 しかし、すこしのあいだしずかになると、

なにごともなかったかのようにもとどおりき

んぎょたちはおそらのあちこちにちりぢりに

なっておよいでいきました。

 おそらがすこしくらくなりました。

 サリーはうでにはめたえほんのかたちをし

たうでどけいをおそるおそるひらいてみまし

た。

 なんてことでしょう。

 まだ、なんのようじもすませていないのに

もう、ごごのさんじではありませんか。

 そして、サリーのこころのなかはどしゃぶ

りになり、おそらもそれにあわせるかのよ

うにすこうしずつくらくなってきたのでした。

 サリーはついなきだしそうになりました。

 すると、ほんのなかからこびとのようにち

いさくなったヒロシがでてきました。

 そして、こういいました。

 「きんかをぜんぶおそらになげてみなさい」

 「くれてやるなどといわないで」

 「きんかをぜんぶおそらになげてみるんだ」

 サリーはすこしもったいないきはしました。

が、じぶんのもっていたきんかをぜんぶそら

へとなげました。

つづく






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