マダム豆大福の読書の小部屋

2009/03/09(月)10:00

幸田文しつけ帖

家事(9)

家事一般、とくに掃除については主婦でありながら劣等生だ。自分の親も掃除にそれほど熱心ではなく、掃除の仕方を厳しくしつけられたこともない。結婚当初、掃除については夫にかなり言われたが(夫の実家はいつ訪れてもチリひとつない)今は完全にあきらめてくれているようだ。 でも、掃除・家事の本を読むのは大好き!(ダイエットの本を読むのも大好き!ダイエットできないけど) この本の著者、幸田文の父は明治の文豪、幸田露伴。幸田文は小説も面白いが、父にまつわるエッセイも多い。「幸田文全集」を定本にして、「父のしつけ」「家事のしつけ」「礼儀のしつけ」についてのエッセイを娘の青木玉が選び、一冊にまとめている。 父の露伴のしつけは厳しい。とくに掃除については、雑巾の絞り方、はたきのかけ方、道具のしまつなど。生母を早くに亡くしているからか、父親が家事のしつけでこれほど言うものか、と思う。容赦ない言葉がとんでくるけど、娘の文は実に素直に、従順に受け入れて父をうかがっている。父親への信頼と尊敬がものすごく伝わってきた。 家事をしつけることは、親にとっては面倒だと思う。子どもにさせるより自分でやったほうが速いし、叱ったり押し付けたりもしたくない。でも、子どものころのしつけが一生、宝になるんだなあ。うちの親も、もっと厳しく掃除の仕方を教えてくれたらよかったのに、なんて。30過ぎたら自分の責任ですね。 幸田文の文章はいつ読んでも「濃い」。入試問題になりやすいのも分かる。一つ一つの言葉が深い意味を持っていて、それが文脈の中でしか生きてこない使い方をする。自分だけの言葉を選んで使う姿勢がいいなあ、と思う。 「女性の品格」はベストセラーになった。「しつけ」も、もう一度見直されるかも。 ベストセラーの予感…3月に刊行予定の「台所帖」にもおおいに期待する。

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