マダム豆大福の読書の小部屋

2009/09/28(月)08:45

浪打ち際の蛍  島本理生

モテ系恋愛小説(40)

波打ち際の蛍 作者:島本理生 主人公の真由は現在休職中。元恋人のDVが原因で心を病み、今はカウンセリングルームに通っている。 同じくカウンセリングに通う蛍という男性と知り合い、徐々に二人は距離を縮めていく。 しかし真由は元恋人とのことが頭をよぎり、蛍に本当に心を開くことはできず、そんな自分にも苦しむ。蛍は我慢強く真由を思い続ける・・・ といった内容。恋愛のことが90パーセントを占めている。まあそれはよい。未婚の若い女子の頭の中は半分以上恋愛で占められているのが実際だから。 ストーリーはありきたりだけど、ディテイルは島本氏らしくとても繊細。過去の出来事を引きずって相手のことを過剰に窺ったり、身体の感覚の描写はうまいなあと思う。 しかし、「蛍」の人物像が明確につかめなかった。カウンセリングに通うほど重症でもないし、(たぶん)元カノとも平気で逢う。でもって、真由に身体のふれあいを何度も拒否されても非常に優しく、辛抱強い。 いい人だけど、好きになれないタイプだった。元カノと逢うという時点で不合格。友達に戻れるくらいなら真剣な恋じゃない! などなど思いましたが、全体的には面白い小説でしたよ。

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