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テーマ:お勧めの本(7908)
カテゴリ:新書
終身刑の死角
著者:河合幹雄 著者は桐蔭横浜大学教授で、法社会学者。名前から予測できる通り、故河合隼雄氏の息子。 裁判員制度に伴い、にわかに導入が叫ばれている「仮釈放なしの終身刑」。死刑と無期懲役の間にあまりにも乖離があることから、多くの人々が賛成していると思われる。 確かに、無期懲役というのは、「どーぜ20年ぐらいで出てこられるんでしょう?」というイメージ。しかし、実際にはそうでもないらしい。 著者は終身刑を導入することには反対の立場だ。理由はさまざま。 ・これ以上刑が重くならなければ刑務所内で暴れる受刑者に「アメ」を与えられない。死刑囚と同様の優遇措置の蔓延を止められない。 ・刑務所が介護施設になってしまう。 ・希望が持てない終身刑の生きがいは何か。死刑囚のように「改心」に結びつかない。 ・脱走しようとする受刑者が増える。その対策にまたお金がかかる。 ・受刑者一人にかかるコストは年間300万円(!)税金がもったいない。 などなど。そう言われると、「じゃあ、死刑で。」という感想になるが、「死刑」をどうするかも、難しい問題。被害者、遺族は犯人が終身刑、死刑になって救われるかどうかも疑問だし。 その他この本では、凶悪犯罪の実態と刑務所での過ごし方、出所した後の暮らし、無期刑囚の生活、死刑の執行や刑務官についてなどなど、一般市民が気づかない「死角」を教えてくれていて興味深い。 よく報道される凶悪犯罪は中流の人々がかかわるものであり、底辺の人、暴力団などの殺し合いは無視されているとか、刑務官は非常に特殊なコミュニティの中で生活しているとか、量刑の厳罰化が進んでいることとか… これらの本と併せて読んでみても、死刑、無期刑、終身刑、…刑罰の問題を考える一助になると思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009年11月18日 09時25分23秒
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