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カテゴリ:モテ系恋愛小説
作者:綿矢りさ ユニークな恋愛小説。 主人公は26歳のOL、ヨシカ。経理課に所属している。 今まで誰ともつきあったことのないヨシカだが、「ニ」と呼ぶ男に交際を求められていた。 社会人としてはごくまっとうでちょっと暑苦しい「ニ」。しかしヨシカには中学時代からずーと思い続けている「イチ」という男がいた。 「イチ」と再会できることになり、「ニ」への返事を留保するヨシカ。彼女の長らくの片思いは実るのか?それとも「ニ」と男女交際するのか? 面白いといえば面白く、「かわいい」小説だった。ヨシカの「イチ」への片思いっぷりは筋金入りで、「不倫は文化」ならぬ「片思いは文化」といいたくなるほど。 同時に「ニ」への冷淡さも綿矢らしい辛辣さで笑えた。 しかし、しかし…それが狙いなのかもしれないけれど、細部のリアリティを欠いていてどうも「ヘタ」な印象が否めない。前作の『夢を与える』も面白い小説だったけれど、リアリティというものを決定的に欠いていた気がする。 小説家とは思えないほどカワユイルックスで、あんまり世間を知らない作者が、編集者に怒られながらがんばって書きました、という姿が透けてみえた。 片思い…私も学生時代は「趣味」の欄に書きたくなるぐらい、片思いばっかりしていた。でも、片思いは、やっぱり幼い。相手を理想化して、それがふくらむばかり。そこに相手への本当の思いやりみたいなものは、ない。 そういう「幼さ」が実によく出ていた小説でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011年02月08日 14時33分53秒
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