秋の夜のJAZZ LIVE
毛糸の夫はジャズ大好き人間だ。大学時代から温めているレコードは1メートル半の棚2段を占領している。自身は大学時代ギター部に所属し、フラメンコギターなるものを弾いていたそうだ。数年前、その夫の付き合いで行くことになったジャズライブ。ジャズには全く興味のなかった私が目の前で、プロの奏でるピアノ、ベース、ドラム、サックス、ギター、ヴァイオリン、そしてヴォーカルの、各々の音色とテクニックのすばらしさ、何より間近で見るからこそ感じられる息づかいを目の当たりにして・・・しびれてしまった今ではジャズライブ大好きになっている今回は何度目だろうか。10月29日夜6時~、夫の友人K氏主催の、恒例 JAZZ LIVE PARTY。場所はミナミの ART CLUB。このジャズライブ、最初は年に1~2回行われていたのだが、ノリノリのK氏が次々と企画するため、今では年に5~6回は開催されている。主にライブハウスで演奏活動をしているプロのジャズミュージシャンたちの演奏や歌を身近に楽しめるいい機会だ。ヴォーカルはプロ数名に加え、余興でアマチュアメンバーも数名。ジャズ大好き夫を持つ毛糸は、毎回ヴォーカルで歌う夫の影響を受け、今春からジャズヴォーカル教室にも通いだした。ってなわけで、今年の7月に開催されたK氏のライブで、毛糸の歌声を初披露し、今回は2度目のヴォーカル参加なのだ。とはいえ、前回の歌の録音を聞き、かなり落ち込んだ私。素人なんだし、ご愛嬌よって割り切りたいところだが、パーティーの参加費を1万円も払って集まってくださる皆さん方には大変申し訳ない。そこで今回は、夫とデュエットをし、ノリノリで歌っちゃう線で皆さんに楽しんでいただこうと画策してみた。フォービートやバラード調で歌われることが多い "Tea For Two"をアップテンポでスイング調にアレンジし二人で掛け合い(漫才と違いまっせ)ながら歌うのだ。見つめあい、体を揺らしながらのデュエットをノリノリに楽しく…は皆さんに伝わっただろうか(笑)?実は、前日まで夫は歌詞を覚え切れていなかった。焦る夫と毛糸。翌日までに練習するしかない。無理を言って、ピアノバーのマスターにお願いしキタ新地のお店で何度も練習させてもらい何とか形にする。心配したマスターが、アレンジした楽譜をFAXしてくれる。マスターよ、ありがと~~キタ新地から自宅周辺に戻り、まだ不安な夫は、「これからまだ歌いに行く。」とのたまう。「私、発声方法が悪いから、歌い過ぎると明日声枯れしちゃう。」と一応抵抗したものの、結局自宅から徒歩10分の距離に位置する週末ライブをしているバーへ繰り出してしまった。まぁ偶然。その日は、例のK氏のライブにも来てくれている高岡さんのピアノライブ。高岡さんの伴奏で2度ほど合わせることができた。自宅に戻り歌詞カードを見ずにまたまた練習。どうも夫は Verse 部分が苦手で覚えられないようだ。明日の本番で歌詞が出てこないのは困る。夫のパートを減らし私が歌うことで対応する事にした。特訓三昧の夜がやっと開け、当日、2時間前に現場入り。祖田さんのピアノ、佐藤さんのドラム、そしてベース、ヴァイオリンをバックに2度のリハーサル。(他の素人は一発OKだったのよね)そして本番Verse を歌い終え、コーラスに入る。コーラスは夫からだ。♪Picture you ……mmmmm♪いきなり ハ、ハ、ハミング~!?よもや、初っ端でつまづくとは…。今まで間違えたことのない箇所なので、すっかり安心していた。それ以降、私は自分のパートが終わると、夫を見つめ、(いや、顔は微笑んでいたが、目の奥はたぶん睨みつけていたであろう)そして、「次はあなたの番よ。」と促し、夫の唇が動かない場合は、私が歌えるように臨戦態勢。以後、夫の失念はなかったが、おかげで、サビの部分で盛り上がり損ねてしまった。JAZZの場合、前奏及び間奏部分は演奏者のアドリブによる部分が多い。ゆえに私も必死なのだ。前を向き、お客さん80余名に笑顔を振りまきながらも、注意深くピアノの音を傾聴している。そう、まさしく傾聴。リハ時とは違う演奏でも、このタイミングで入るってところで入る。深く息を吸い、チラッとピアノを見やり、演奏する祖田さんに「次、入ります。」オーラを出す。祖田さんも「OK,間違ってへんで。」と表情を変えずに応じてくれる。デュエットを終え、深々と礼をする。聞いてくれた皆さんへの感謝の気持ちを。席に戻ると、お世話になっている社長が言葉をかけてくれた。「奥さん、度胸ありますなぁ。」度胸はあるのだ。あがりそうでもあがらない。ほぼ同じ観客で行われるこのライブは、K氏の知り合いがほとんど。夫とも顔なじみの紳士やご夫婦が席にいる。話題性のあるデュエットと、胸元や耳につけた派手な光物のアクセサリーで目くらましし(笑)、歌の未熟さを補った観はあるものの、堂々と声を張って歌い上げた…つもりだ。よく酒席でご一緒する前述の社長夫人には、「奥さん、ご主人の順番をさり気なく教えたはりましたなぁ。」ハハ、ばれてましたか~