2015/08/22(土)19:18
出かける寸前の喪失感
【8月20日・木曜日】
しばらく前から私は娘の知り合いで、長期海外旅行の最後の滞在地として、9月10日から10日くらいイスタンブール滞在を希望する女性の依頼で、アパート・ホテルを探しており、外出の帰りなどにはタキシム広場からチュクルジュマへの道筋の、あるいは付近の道筋の、こぎれいなアパート・ホテルを見かけると、部屋を見せて貰ったり諸条件を聞いたりするのだが、今までどうしてもご本人の希望に沿うようなところを見つけ出せなかった。
もちろん、近辺のアパート・ホテルを片っ端からしらみつぶしに全部、毎日聞いて歩いていられるわけではないのだが、それにしてもイスタンブールのホテルやゲストハウスなどの料金の高さにため息が出る。
自分で料理が出来る設備、流しとレンジ、洗濯機や乾燥機まで付いている広めの部屋となると、150ユーロ位から、の値段設定である。旅行者だったらまだ数日から長くても2週間、3週間程度だから居心地のいい空間で過ごしたい人はそのくらい覚悟するだろうけど。
このベイオール地区では、普通のアパルトマン(マンション)の家賃も高騰しているので、以前はよくトルコで住もう、と言う人々の家探しに動員されて、坂道、階段の塊みたいなイスタンブールの中心街をずい分歩き回ったものだったが、さすがに最近はその元気もないし、予算に相当するリーズナブルな物件そのものがないので、頼まれても見つけてあげられない状態である。
さて、娘の知人のために、朝の涼しいうちに、ちょっと近くを見て来ておこうか、と出かける気になって、散らかっているサロンや廊下に目立つ毛綿ゴミだけ箒で掃き集め、さて出るか、とバッグを肩にかけた時、突然オグリとシェビィが喧嘩を始め、逃げた1匹が台所でキャットフードの皿をひっくり返す。
こんな時に限って物を落としたり、水差しを倒して台所を水浸しにしたり、こうしてキャットフードなどをばらまくことは日常茶飯事で、家にいる時もしょっちゅう、何か起こってがっくりさせられることは多いが、こうして他人さまへの奉仕のために、家を出る寸前、こんな目に遭うと猫達への怒りより、何だかやるせない、喪失感でいっぱいになる。
今日はまだいい方よねえ、同時に水の容器もひっくり返すことだってあるんだもの・・・
私はメフテルとも一時お別れのこの機会に、ちょっと自分の内なるものに触れたい、とチレ・チカルマック(懺悔する)状態に入ろうと思うので、猫達や~、これ以上何か、こぼさないでくれ~。
madamkaseのトルコ本 「犬と三日月 イスタンブールの7年」(新宿書房)
「チュクルジュマ猫会」
海泡石のパイプやアクセサリーと、「宮古島月桃」の買える店
アントニーナ・アウグスタ