madamkaseのトルコ行進曲

2015/12/07(月)22:40

エルチ氏の葬儀の日

トルコと日本と世界の出来事(87)

【11月29日・日曜日】  ディヤルバクル弁護士会の会長ターヒル・エルチ氏暗殺事件は、トルコ全土ならず、世界の耳目を集めた。2日前のジャーナリスト拘束事件とも連動する逆なイデオロギーの食指が動いているようでもあり、トルコは大揺れである。  エルチ、という苗字が「大使」と言う意味でもあるので、彼のことを「Baris Elci バルシュ・エルチ(平和の大使)」と見出しにつけた新聞なども見受けられた。   南東部随一の大都市ディヤルバクルの、広いメインストリートを 埋め尽くした人々に見送られて、エルチ氏は永久の世界に旅立った。    さて、ロシアのプーチン大統領からの謝罪要求をはねつけたエルドアン大統領が、12月2日からパリで開かれるGOP21第21回世界気候変動会議の際に、プーチン氏との個別の会見はない、とトルコでは報道されている。強気のプーチン氏に負けず劣らずのエルドアン大統領のこと、膝を屈することはあるまい。  ロシア側は次々とトルコに対する経済制裁を打ち出してきている。現在イチェリ県(地中海沿い)のアックユという町に建設中の原発の工事から手を引くとというのを筆頭に、かつて、ウクライナにしたように、天然ガスの供給を中止するとのことだし、アンバルゴと呼ばれる食料品や工業製品などの輸出入の制限もするとのこと。  しかし、そんな程度ではトルコはびくともしないだろう。ロシアでは欧米諸国からの経済制裁が長引いており、実際にはロシアの経済は疲弊しきっているとのことである。トルコは最大の市場であり、他国からも買える天然ガスをわざわざロシアから買っているのは、巨額の援助をしているも同然なのである。  しかしながら、やっぱりシリア国境の付近では相変わらずPKKの一派か、ISIDの仕業か、軍人を輸送するトラックやバスが地雷を踏んでしまったり、待ち伏せていたテロリスト達に襲撃され、銃撃戦で戦死する兵士や下士官や殉職するポリスのニュースが後を絶たぬ日々である。とくにいま、トルコがシリアとの国境付近のテュルクメン人達を支援しているため、アサド政権を支援しているロシアがトルコを目の敵にしているのだった。  話は変わるが、日曜日に営まれたターヒル・エルチ弁護士会長の葬儀には、凶弾に倒れた平和の使徒エルチ氏を偲んで、その葬儀の様子を生中継で見るつもりでいた私の予定が突然変わった。  午前11時過ぎ頃、近くの土産物店の店長ユルマズさんから、旅行に来た日本人がトラブルに巻き込まれたようなので、今店にいるから相談に乗ってあげて下さい、と電話が来たので、ご当人と話をし、12時過ぎにおにぎり弁当を作って彼の待っている土産物店の隣のイーイト・ギョズレメ店に出向いた。  旅先で具合が悪くなったり嫌な思いをした日本人には、おにぎりが一番のお土産である。食べ物屋に食べ物を持ちこむのは失礼だからもちろんあらかじめ、店の許可を得てのことである。  いろいろいきさつを聞かせて貰ったが、日曜日でもあり、彼の仕事の関係で一度は居住地に戻らなくてはいけないので、警察に行っている時間もなくて、いずれイスタンブールを再訪することになり、3時半にタクシーを呼び、彼は私の分のお茶代も払ってくれて、何度も礼を言いながら空港に向かった。  彼を見送ったあと、ユルマズさんの娘セリンちゃんや、ギョズレメ屋さんの人達と、1時間ばかり話をして過ごし、5時から会うことになっている友人達2人との約束の場所、トゥルンジュ・パンパンに出かけたのだった。  悲喜こもごもの今日この頃。11月も明日を残すだけとなった。     madamkaseのトルコ本 「犬と三日月 イスタンブールの7年」(新宿書房) 「チュクルジュマ猫会」 海泡石のパイプやアクセサリーと、「宮古島月桃」の買える店   アントニーナ・アウグスタ  

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