猫のバクム(ケア)
【11月30日・火曜日】 昨日の朝、列車の運行が再開されたというハイダルパシャ駅の正確な情報を得るため、私はヨーロッパ側の鉄道起点シルケジ駅に行ってみた。 長距離列車の切符売り場は閑散としていてすぐに私の番が来た。窓口の駅員に「ハイダルパシャ・ガル・イチン・ゲチミッシュ・オルスン」と見舞いの言葉を述べると、駅員は「テシェッキュル・エデリス」と言いながらにっこりした。「運行が再開されたと聞いたのですが」「ええ、通常ダイヤに戻っています」「それはおめでとう。30日のアンカラ・エキスプレスの空席状況を見ていただけますか。空きがあれば2人分」「十分大丈夫ですよ。ではお名前を・・・」 前回コンヤ行きの切符を買ったときは別な人だったが、「ユ・ミ・コ」と一音一音はっきりと言っているにもかかわらず、聞きなおしもせず「Yuvuto Kaze」と打ち込んでくれたので心配したが、今度の人は大丈夫だった。 職員は向こうから「割引の対象になる方はいますか?」と聞いてくれた。「ハイハイ、私です。67歳!」 私の隣にはコンヤに同行した花江さんがいた。つい前日、「加瀬さん、ぜひともメヴラーナ追悼祭(シェビィ・アルース)に連れて行ってください」と電話があったので、一緒に切符を買いに行ったのだった。 ところが前売りは2週間前からとのことで、12月1日にならないと買えないという。仕方なく花江さんとエミニョニュまで歩いて、私は折畳みの傘を買い、そのあと、エジプシャン・バザールの花江さんの顔なじみの店でお茶をご馳走になった。 エミニョニュで花江さんと別れ、トラムワイで帰宅すると、本日は1ヵ月に一度の猫達のバクム(ケア=蚤と寄生虫退治)の日なので、学校帰りの京子さんに協力して貰い、2回に分けて4匹ずつをオズギュル先生のクリニックへ。 ところがまだその日の定期便を出していなかったらしいミディエが、タクシーで家を出ると間もなく、切ない声で鳴いたあと、やってくれました~っ。 挙句の果てに踏み潰してfunnyouまみれ。 車の窓を全開にしてもなお、悪臭元を抱えたまま行かざるを得ず30分、私はコロンヤ(レモンのオーデ・コロン)を隣席の運転手、ゾングルダック県出身のイブラヒムさんに勧めた。 すると彼は思い出したように車のフロントボックスからコロンヤのウェットティッシュを取り出して京子さんと私にも分け、左手で鼻に当てながら運転を続けた。 ときどき、イブラヒムさんの喉が「ゲフ」と音を立てるのが気が気ではなかった。やっとクリニックに着くと、先生と助手の獣医さんがミディエとキャリーを洗ってくれた。 そのあと、4匹の猫に寄生虫退治の注射と、蚤退治の点薬が始まったが、猫達はおおむねおとなしく、特にタンブルとオグリは針を刺されてもニャンともない。 しかしながら道は混むわ、待ち時間メーターが働くわで、家に戻ると料金は43リラ。私は50リラを払い、せめてのお詫びにお釣りを貰わなかった。いくら顔なじみの運転手さんであろうと、こんな目に遭わせては申し訳ない。 2時に出たのに家に戻ると3時半、運転手の交代時間なので彼は帰り、2回目は別な運転手レジェップさんが来た。 前夜から戻らなかったキウイがちょうど出掛けにタイミングよく戻ってきたのを京子さんが見つけ、エレベーターを開けたらさっさと中に入って家に戻ってきたので、容易に捕まえることが出来たのである。 1回目の戻りで海岸通りを通ったのだが、その方が道が空いていたので、今度はそちらから行って貰うことにした。少し遠回りになるがバルバロス・ブルヴァル(大通り)の大渋滞をよそにスムーズに行くことが出来た。 今度は猫達も全員おとなしくクリニックまで行ったが、キウイとシェビィとアルスがどうしたことか、診察室に入った途端、泡よだれを滝のように流して大暴れし、時間ばかりかかって順調に行かなかった。 最後にただ1匹、タマオだけが「何か起こったの ?」といわんばかりの涼しい顔で、あっという間にバクムを終わらせた。 先生ともちょうど1ヵ月会わずにいたので引き止められ、コーヒーをご馳走になり、私もつい近況を語ってしまった。やがて支払いを済ませ、近くの道で駐車しながら待っていたレジェップさんを呼んだ。 帰途、園芸店に寄って貰い、去年アトムを亡くしたあとに買った4鉢のシクラメンがこの夏留守が長かったため全滅してしまったので、濃い赤紫のシクラメンを買った。 もっとたくさんほしい花もあったが、タクシー代もかさんでいることだし、と思いとどまり帰って来た。 色鮮やかな濃い赤紫のシクラメン 2回目は待ち時間が長かったので54リラ、これも60リラ渡して長時間待たせたお詫びをし、気分よく帰ってもらった。今朝ATMから引き出した500リラ(約30,000円)があっさりと飛んでいった。 京子さんが手伝ってくれたし、タクシーで往復するだけ、と言っても、猫のバクムはやはり容易でない大仕事である。 京子さんが餌の準備をしてくれている間に、私は夕飯の用意に取り掛かった。野菜をたくさん入れて炒め、あんかけうどんにして食べた。 有り合わせの野菜やハムなどであんかけにしたうどん。 トルコ語学校が難しい上級段階になり、宿題が多くて多くて、とこぼしながらそれでも嬉しそうに京子さんは自宅に戻って行った。 彼女のお陰で私も安心して猫を自宅に置いたまま旅に出ることが出来る。 しかしながら精神的に疲れてしまったのか、私は9時半頃もう眠気がさしてきて、ほどなく寝室に直行、エクササイズで足を動かしているうちに眠ってしまったようで、目覚めてメールの返事書きを始めたのは朝の3時だった。 ← 電車? 今日は夜10時30分ハイダルパシャ駅発のアンカラ・エキスプレスで旅に出ます。ミッキーさんも楽しみにしているというので、大事な友人のそのまた大事な友人のために、一踏ん張りしてきます。 パソコンを持たずに出るので、ブログとメール、しばらく休ませていただきます。 やあねえ、みっともないこと書いてサァ。お嫁に行けないジャン!madamkaseのトルコ本 「犬と三日月 イスタンブールの7年」(新宿書房) 「チュクルジュマ猫会」