ジャスミンの花
ジャスミンの花のつるが一つ。いい香りを放って、住宅の壁から下がっていた。なぽうの勤務先は、駅から住宅街を抜けていったところにある。住宅街は、高級住宅街と言われるところで、敷地も広く、四季折々の花を愛でることができる。ジャスミンはつる科の植物だ。強いニオイにつられて見回すと、ジャスミンはたいがい、庭の一角に生い茂っている。濃いミョウガのようなピンクの先端に、可憐な白い花を咲かせる。今が盛りだ。なんとなく夜が似合う花。可憐で、控えめな姿。しかも、もっさりと生い茂る、ジャスミン。香りに弱いなぽうとしては、しばらく、ジャスミンの生い茂る、いくつかのお宅の合間をぬって、通勤したいと思う。やがて、五月の連休が始まる。その頃は、ジャスミンの花も終わり、濃い緑の葉のみが茂ることになる。そこに、あの、香りの強い、繊細なジャスミンの花があったとは、誰も気がつかないくらいに。